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ひとこぶらくだがまっていた*岸田衿子

hitokobu.jpgちいぼうは5歳の男の子。休みの日はいつも山のデパートの大きいこぞうさん、ゆねさんと一緒。ある日ちいぼうはゆねさんとくろまめの実を採りに山まで行くが、ゆねさんとはぐれてしまう。ちいぼうを乗せたジープが突然走り出し、向かった先にはひとこぶらくだが待っていた。ちいぼうを乗せたひとこぶらくだはジャングルを進んでいく。ジャングルでちいぼうが様々な動物に出会う冒険物語。岸田衿子のナンセンス童話を長新太の挿画が盛り上げる。
(岸田衿子)1929年東京都生まれ。詩人、童話作家。東京芸術大学油絵科卒業。主な著書に 『かばくん』 『ジオジオのかんむり』 『きょうのおべんとうなんだろな』 他多数。
(長新太)1927年東京都生まれ。東京市立蒲田工業学校(現 都立一橋高等学校)卒業。絵本作家。文藝春秋漫画賞、国際アンデルセン賞優良作品、講談社出版文化賞絵本賞、厚生省児童福祉文化奨励賞、絵本にっぽん賞大賞、 路傍の石幼少年文学賞、日本絵本賞を受賞。また1994年に紫綬褒章を受賞。著書、挿画多数。

長新太の話題になりふと思い出した本書。子どもの頃うちにあり何度も何度も読み返した本書。長新太の挿画だったけど、題名は 『ひとこぶらくだがやってきた』 だと思い込んでました。そんなうろ覚えの情報でも何でも探せるようになったインターネット、本当に本当に便利な時代になったものです。

しかし県立にも蔵書がない。どこから借りられるだろか…と思っていたら司書をしている友人が、近郊のG図書館にあると調べてくれました!県立図書館の横断検索をすれば出てくるとのこと。横断検索って初めて知りました、そしてなんと便利なのだろう!県立図書館のみならず、県内他館の蔵書検索が一挙可能に!(※インターネット検索が可能となっている館に限りますが、念のため)。こりゃあ便利、今まで知らなかったとはずいぶん損してた気分。ということでH図書館から相互貸借を依頼し快諾され、即座にG図書館から手元にやってきました。ああ~なんてすばらしい時代になったんだ!

本書は昭和43年刊、現在絶版です。G図書館書庫にあったこの本、実にきれいに保管されています。つまりは読まれていないということだが…。しかもサイズはB5判という大判でこれもまた新鮮。早速読み始めました。

評価:(昔の面白い本どんどん教えてください)

昭和43年という時代設定、出てくる言葉も時代を感じさせて楽しいです。山のデパートの店員さんは 『おおきいこぞうさん』 丁稚か!こぞうさんって一体?更にカレーライスじゃなくて 『ライスカレー』 今こう言う人はほとんどいないかも。ちょっと前まではライスカレーって言う人も結構いたのに。

私の母は 『温泉を掘るつちぶた』 がおかしいと言ってました。私は着替えをして出かける黒ヒョウとその黄色い服が気に入ってました。読んでいくうちに色々思い出しました。そして一番おかしい部分は、3羽の鳥を囲んでジャングルの動物たちが 『バカ騒ぎ』 をしているシーン。

あの子はだれだ 名前を聞くな ヘイヘイホー

という謎の歌を歌いながら、鳥たちはダンスを踊りその周辺でうさぎやいたちという小動物たちが空き缶やヤシの実を叩いているシーン。
ちいぼうは踊る鳥が珍しく眺めていますが、一瞥したひとこぶらくだが一言。 『ふん、ばかさわぎか。』

この台詞が最高に効いている!今時の児童文学で登場人物に  『ふん、ばかさわぎか。』 と言わせてくれる作品は、もうないと言ってもいいのでは?
終始意味不明な動物たちと出会いながらちいぼうのジャングルでの旅は続き、ライオン館でライスカレーをごちそうになった後、ちいぼうが川原のワニのお腹の中で見つけたものは。

ちいぼうは終始ゆねさんの姿を求めてジャングルをひとこぶらくだに乗ってさまようのですが、川原でじっとして動かないワニに出会います。よく見るとワニのお腹にはジッパー(※チャックのこと)が付いている。
ちいぼうがじーっとジッパーを開けてみると、驚くことに中には更に小さいワニが入っていました。そのワニのお腹にもやはりジッパーがあり、ちいぼうが開けてみると中から みかん色(※オレンジではない)のタオルが。

ゆねさんのタオルがワニのお腹の中に!ゆねさん食べられちゃったのか?いやワニの中にはタオルだけ、じゃあゆねさんは?ちいぼうと共に読者も考えます。
『おーいゆねさーん、どこいっちゃったんだよおー!』
果たしてちいぼうはゆねさんに再び会えるのか?

5歳のちいぼうが突然現れたひとこぶらくだと旅を続ける。突然眼前に広がるジャングル、ジャングルにはヒョウやサルや温泉を掘るつちぶたや、踊る鳥にバカ騒ぎする動物たち、ライスカレーをごちそうしてくれるライオンなど変な動物たちがいっぱい。そして迎える大団円、ゆねさんはどこへ!?
ナンセンスはストーリーと共に長新太の挿画が素晴らしい、本当に思い出の作品です。

このナンセンスぶり、真似できません。岸田衿子はさすがです。そして晩年多くの作品を残した長新太にも、間違いなく大きな影響を与えたと思われます。
長新太のナンセンスの源流をここに発見したような気がします。

そして時代を超えて面白いものは面白い。2日に分けて第2王子に読み聞かせしてみたのですが、カラーが少なく更に挿画のないページもある本書を、彼はしっかり楽しんで聞くことができました。第2王子自身のおはなしを聴く力が上がっていることも確かではありますが、やはりこの本が魅力があるのだと痛感した次第です。

現在絶版。復刊ドットコムに復刊依頼を出さなくては。更に古書店でも探してみたいと思います。いつの日か、見つかることを祈ってます。

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1972/02/16
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