農業大学に入学した沢木惣右衛門直保(さわき そうえもん ただやす)には菌やウイルスが目に見えそれらと交流することができる特殊な能力がある。その能力を高く買っている教授や院生、上級生らの実験に巻き込まれ1年生から研究室に入り浸り毎日菌に関する騒動が繰り広げられる。農大で菌とウイルスと少しばかりの人間が右往左往する物語。脚注、欄外の登場人物紹介欄やつぶやきなどが雑誌掲載時と全く同様の形で収録されているため、読むところが多くて大変。2007年フジテレビでアニメ化、手塚治虫文化賞マンガ大賞、講談社漫画賞一般部門、醤油文化賞を受賞。イブニング連載。
(石川雅之)1974年大阪府生まれ。漫画家。主な作品に 『純潔のマリア』 など。
友人がメールをしてきました。 『今日科博( 国立科学博物館、上野公園)に行って来ました。ところで 「もやしもん」 ってマンガ読んだことある?私はこれから読むつもり。』 で私ももやしもんを読むことにしました。何で科博へ行って、もやしもんってマンガなんだ?というツッコミはあえてせず、そのまま貸し本屋(じゃなくてレンタルビデオ)に直行、潔い私。そこで6巻まであったので借りてきました。
簡単に言って上記↑にある通りのマンガです。それ以上でもそれ以下でもありません。作中で菌たちがたびたび発する 『かもす(醸す)』 という言葉は 『繁殖する』 『発酵、腐敗させる』 ことを指すそうです、へー。O-157とかは 『かもす』 『かもして殺す』 とかつぶやいてます、結構怖いマンガです(笑)。
教授と院生は最初は直保を使って新種のウィルスを発見しようとか思っていたようですが、2巻くらいから2年生のコンビを加えてみんなで研究室でワイン作りを始めます。ほっとんどそのワイン作りに明け暮れ、その間に学祭があったり細かい恋愛模様(なのか?)があったりで、物語中の時間は遅々として進みません。人間関係もごくわずかな人々しか出てこないのにそれぞれのキャラが強すぎるのか自己主張が強すぎるのか、支離滅裂。だが物語はどうしたわけかちゃんと進んでいる…何と言うか実に形容しがたいマンガであります。作者の言葉にある【農大で菌とウィルスと少しばかりの人間が右往左往する物語】という解説は、まさにピッタリすぎます。
でも巷では人気マンガのようです。人気の秘密はイマイチ分からないのですがとにかくニュータイプであることは間違いなし。ストーリー展開はないようでちゃんとあるし、コンセプトはあいまいなフリをして実は骨太そうだし。しかし脇(欄外)の登場人物紹介や菌類紹介の解説に気を取られすぎで本編に集中できません、私の場合。絵が特別上手いわけでもしっかりしたストーリー展開もないけどなぜか人気。つまらなくもないけどかと言って面白くもない、微妙な感じ。そこが人気の秘密なのかも?(以上、すべてごめんなさい石川先生 )
直保はこの後どうなるのかな…それを言ったら樹教授も樹ゼミに集う学生達も、永遠に学祭してそうな雰囲気です。
評価:(5つ満点)
【おまけ】
ちなみに科博のHPより、先日終了した特別展示のページを発見。そこのイメージキャラクターにもやしもん達が!すごい出世だわ。 『今秋、僕たちが上野の森をかもします!』 だって!!