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アイムソーリー、ママ*桐野夏生

img20050821.jpg置屋の片隅で誰の子どもかも分からず戸籍も持たず育ったアイコ。人を信じることを知らない彼女は常に過去を消しながらどこまでも走り続ける。それでも彼女が最後まで求め続けたのは、母親の背中だった。桐野氏の 『グロテスク三部作』 の最終作、第三作目。
『小説すばる』 掲載に加筆。


物語はとある焼肉店から始まります。
児童養護施設、星の子学園の元保母と元園児であった一組の夫婦。親子ほども年齢差のある2人が焼肉店に入り、そこで店員として働くアイコに気付く。アイコに話しかける元保母であった妻。飲みに誘うも、元園児であった夫は 『アイツ、気味が悪いから誘うのはよそうよ』 と最後まで言い張っていた。結局アイコは飲み屋には来ないのだが…。

という物語の始まりはいつもの桐野夏生調で大仕掛けあり、とワクワクさせられるのですが、どうもその後の展開に書き込み不足というか取材不足というか、物足りなさを感じました。グロテスク三部作の最終を締めくくるにはちょっと、物足りないかな。でも1作目の 『グロテスク』 が凄すぎたからかな。

評価:(5つ満点)

一言で言うとちょっとアイコの人物像の書き込みが足りないように感じます。アイコの心の闇があんまり迫ってこない。アイコは戸籍もなく、違法売春宿で育ったため正確な年齢も分からず、そこが摘発に遭い初めて世間の日の目を見ます。児童養護施設へ引き取られ、初めてまともに食事を与えられ、着る物を与えられ、教育を受けるのですが、そこでも他者との関わりを拒否しながら育つアイコ。

物語中アイコは母の形見だという古い白いパンプスを箱に入れていつも大事に持ち歩いています。施設でも施設を出た後でもいつも一緒の古ぼけた靴。この靴とアイコのやりとりの描写が秀逸なくらいで、やや物足りなさを感じました。せっかくだからもうちょっとアイコの人生について書き込んで欲しかったな。

やがてアイコは置屋時代の人々の俗物的な争いに巻き込まれていき、本物の 『ママ』 に再会するのですが、それも私としては納得いかない。『ママ』 は最後まで分からない方が良かったなぁ…というのが私見です。素材がいいなぁと思わせるだけに、ちょっと残念かな。

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