主人公厚子と私はほぼ同年代で、確かに私も女子大生時代にバブル期を迎えていたはずなのに何なんだこの差は!という視点でも楽しめます(苦笑)。私にとってはホント、バブルってあったんだなぁ…という感じ。自分も彼氏も貧乏学生だった私にはあんまりというよりほとんど関係ない時代でした。まぁあの頃はデートと言えば男の子が全部払ってくれる、という位で別にいいことなかったなぁ…ってそのツケが今来てるんだろうなぁ…(笑)。
他の作家がこの内容を書けば、厚子とは中身のない女で時代の波に上手く乗り、今もその時代を懐かしみながらダラダラと生きている、かのように描かれるかもしれませんが、この本ではそう感じないのはやはり林真理子の力量でしょう。
厚子は自らの意思でバブル時代にいわゆる 『成功者』 となった男達に自分の魅力を誇示すことにより、当時の贅沢な生活、そして今も続く楽しい生活を得ることができた。それは時代に奔流されたわけでもなく、厚子自身が勝ち取ったものである。
厚子が地上げの帝王や財界人と呼ばれる戸籍上の夫(つまり実質上は破綻している)を 『勝ち得た』 のは、自分の才能である美貌、会話力などを自分自身で育てフル活用する能力を持っていたことと、何よりも類まれなる 『好奇心』 にあったと文中にもあります。
そう、厚子は誰よりも好奇心が強かった。この男と付き合うとどうなるかな?それだけで世間を渡ってきて、とりあえず今は子どももおり実家でのんびり暮らしている。IT長者と呼ばれる若い恋人もいる。
好奇心の強い者だけが、どんな時代をも乗り越えられる。という話かもしれません。
久々の林真理子も楽しかったです。