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アッコちゃんの時代*林真理子

img20060403.jpgバブルの時代、生まれ持った美貌と女子大生という自分の価値を最大限利用しようと、地上げの帝王の愛人となり、高級レストラン キャンティの御曹司を有名女優の妻から奪い、世の中の羨望と憎悪を一身に浴びた1人の女がいた。バブルの東京を本能の赴くまま奔放に泳ぎ伝説となった小悪魔アッコの素顔を描くことで、バブルという一時代を振り返る。『週刊新潮』 連載。
〈林真理子〉1954年山梨生まれ。日本大学芸術学部卒業。コピーライターとして勤務後エッセイ 『ルンルンを買っておうちへ帰ろう』 でデビュー。『最終便に間に合えば』 『京都まで』で第94回直木賞、『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞、『みんなの秘密』で第32回吉川英治文学賞を受賞。直木賞選考委員。


林真理子はこうしたバブル時代の素材を書かせると流石ですね。この話の面白いところは随所に出てくる場所や芸能人、財界人の名前が本名であるというところ。さすがこうした方々とも交流の深い林氏だからこそできる、この小説です。

話としてはトントンと読めて、結局バブルにその人生哲学そのものを預けてしまったアッコこと厚子にとっては、人生を今更軌道修正できるわけもなく、バブル崩壊後も40代目前にしても相変わらずバブル時代とほとんど変わりのない生活を送っている、という内容で、それだけ読むとつまらなそうですが、この本の切り口のよいところは、厚子がとある小説家のインタビューを受けながらかつての華やかな生活を振り返る、という語り口で書かれているところですね。もちろんこの小説家のモデルは林氏自身だと思います。

評価:(5つ満点)

主人公厚子と私はほぼ同年代で、確かに私も女子大生時代にバブル期を迎えていたはずなのに何なんだこの差は!という視点でも楽しめます(苦笑)。私にとってはホント、バブルってあったんだなぁ…という感じ。自分も彼氏も貧乏学生だった私にはあんまりというよりほとんど関係ない時代でした。まぁあの頃はデートと言えば男の子が全部払ってくれる、という位で別にいいことなかったなぁ…ってそのツケが今来てるんだろうなぁ…(笑)。

他の作家がこの内容を書けば、厚子とは中身のない女で時代の波に上手く乗り、今もその時代を懐かしみながらダラダラと生きている、かのように描かれるかもしれませんが、この本ではそう感じないのはやはり林真理子の力量でしょう。

厚子は自らの意思でバブル時代にいわゆる 『成功者』 となった男達に自分の魅力を誇示すことにより、当時の贅沢な生活、そして今も続く楽しい生活を得ることができた。それは時代に奔流されたわけでもなく、厚子自身が勝ち取ったものである。

厚子が地上げの帝王や財界人と呼ばれる戸籍上の夫(つまり実質上は破綻している)を 『勝ち得た』 のは、自分の才能である美貌、会話力などを自分自身で育てフル活用する能力を持っていたことと、何よりも類まれなる 『好奇心』 にあったと文中にもあります。

そう、厚子は誰よりも好奇心が強かった。この男と付き合うとどうなるかな?それだけで世間を渡ってきて、とりあえず今は子どももおり実家でのんびり暮らしている。IT長者と呼ばれる若い恋人もいる。
好奇心の強い者だけが、どんな時代をも乗り越えられる。という話かもしれません。

久々の林真理子も楽しかったです。

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