谷あいの貧しい小国の後継者シュナは、貧しい作物しか得ることの出来ない村とそこに暮らす人々の生活を嘆いていた。ある日村に旅人が行き倒れて来る。彼は実りの種を探して旅を続けていた。シュナの村で息絶えた彼の後を追うように、シュナは村を出てはるか西方にあるという豊穣の地を目指す。その地には人々の飢えを除く黄金の穀物が美しく輝いているというのだ。厳しい旅を続けるうち、シュナは現実の世界の在り様を徐々に知ることとなる。
チベット民話を元に宮崎駿が83年にオールカラーで描いた文庫版。徳間書店アニメージュ文庫。
(宮崎駿)1941年東京都生まれ、学習院大学政治経済学部卒。。アニメーション作家、映画監督、演出家、漫画家。作品に 『風の谷のナウシカ』 『天空の城ラピュタ』 『となりのトトロ』 『魔女の宅急便』 『紅の豚』 『もののけ姫』 『千と千尋の神隠し』 『ハウルの動く城』 など。
ゲド戦記のエンドロールを見ていて、『原作』 に併記されている本書の名前を見つけてビックリです。多くのジブリファンの方々のゲド戦記レビューにも記載がありました。
スタジオジブリの創設者である宮崎駿氏が大きな影響を受けたという原作のチベット民話。原題は
『犬になった王子』 という昔話だそう。そこからヒントを得て宮崎氏が描いたのが本作。
内容は
『風の谷のナウシカ』 に非常に通じる部分が多いと私は思っていましたが、本作の多くの人のレビューを見ると、
『天空の城ラピュタ』 のロボットにも似ているし
『もののけ姫』 の世界観に通じる部分もあったりします。一概には言えないのですがやはり宮崎氏のアニメーションの原点と言える存在なのでしょう。
私は本作で出てくる小麦を作り出す謎の生物?がナウシカに出てくるシュワの墓所だなと思いましたが、厳密に言うとシュワの墓所の位置付けはこれとは違います。この小麦製造生物?は一体誰が何の目的で作ったのだろう…というか誰かが作ったものなのか、それとも自分で生まれて来たものなのか?考え出すとナウシカ(原作)と同じでとまらなくなりそうな、深ーい内容です。
本作に出てくる少女テアとゲド戦記のテルーはそっくり。人狩り達が使っている牛車や奴隷として売買される人々の様子も確かにそっくりです、なるほど。ゲド戦記の監督である宮崎吾郎氏は、父である駿氏への敬意を込めて本作を原作として採用したのかと思いますが、それがお父様のお気に召されたかは?
ジブリファンは一読の価値ありの本です、いつでも貸出可ですのでお気軽にメールでお問い合わせを。
評価:




(オールカラーで420円は大変お得)
PR