歌人 林あまりが贈る、短歌で綴る1人の女性のストーリー。短い短歌に凝縮された細やかな想い、1冊でストーリーが完成されていることを意識して読み取りたい。
(林あまり)1963年東京都生まれ。成蹊大学文学部日本文学科卒業。歌人。著書に 『ガーリッシュ』 『ベッドサイド』 『光を感じるとき』 など。 作詞も手がける。
装丁が苺で非常に愛らしい。この装丁に惹かれて発売時も買おうかと随分悩みましたが、結局買いませんでした。近郊の図書館にあるのを見つけ喜んで借りてきました。
あとがきに注目です。
林氏は
『主人公の設定に非常に悩んだ』 とあります。この本は1冊で、1人の女性のストーリーを表現しているのです!小説ではなく短歌で、短歌の集合でストーリーを綴る。そんなこともできるんだ…と目からウロコでした。
改めてそうした視点で読み返してみると、小さな喜び、小さな悲しみ、小さな幸せ、小さな罪悪感、色々なことが詰まっています。短歌はその時々の心の揺れを書き留めておくものだ、ということがよく分かります。
『スプーン』 の題にある通り、短歌にもいくつかのスプーンが登場します。小さな鈴のついたスプーン、かきごおりをぐしぐしと押しつぶすスプーン。どれも、愛しい存在です。
評価:




(やっぱり買おう)
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