交通刑務所で発見された 『前へ倣え』 姿の遺体。なぜ殺人は刑務所内で行われ、犯人は逃走しおおせたのか。逃走した犯人である受刑者を追う県警が知る、事件の真実は。刑務所内での密室殺人を描いた社会派推理小説。江戸川乱歩賞受賞作 『三十九条の過失』 を改題して単行本化。
(遠藤武文)1966年長野県生まれ。早稲田大学卒業。広告代理店、郷土史出版社を経て損害保険会社勤務。本作 『三十九条の過失』 江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。
まず扉絵の著者近影(1ページアップ!)…誰かに似てる、ほらお笑いのあの人!はさておき、前評判バリバリの本書、なぜ殺人が刑務所内で起こったか?そして犯人はどうやって逃走しおおせたのか?と始まりはかなりドラマチック。
読者をトラップにかけるためになのか、作中に一人称を語る人物が三人出て来ます、1人は犯人、もう1人はまぁ事件に深く関わる人物、だからいいのですが3人目は実は事件とはほぼ無関係のため途中でアレ?となります。それが実は逆効果で若干読者としてはイラつくかも。事件は必然性がなくてはなりませんが、その必然性にもやや疑問を感じるところがなくもないです。
なぜ【刑務所内】で殺人が行われたか?それも密室で犯人は見事逃げおおせたか?というところが大きなポイントなのですが、ラスト一行にまでトリックが仕掛けられているところがちょっと蛇足な感じ。トリックはやっぱり最後には明らかにして欲しいかも。更に途中から大仕掛けのトリックがやや崩れてくるところが残念なのですが、それでもなおプロローグ(出だし)の見事さでそれをカバーしうるほど、プロローグはインパクトがあって見事ですね。
謎解きを求めて翌日の仕事も寝不足になることも忘れ、久々に一気に読み切ってしまった一冊でした。
評価:(著者近影がやっぱり気になるううう)