母から受け継いだバレエ団を運営するバレリーナ東山礼奈。シングルマザーとしてバレリーナとして、毅然とバレエの道を突き進んでいた。16歳になった一人娘の舞のことだけを思いバレエ団を運営してきた礼奈だったが、43歳になりバレエ団のスポンサーとして現れたIT企業社長に心を奪われる。バレエ団は大掛かりな公演ジゼルを控え、主役のジゼルを踊る礼奈は公私共に充実した日々を送っていると信じていた。しかしバレエに伸び悩む舞が突然宝塚を受験したいと言い出した日から徐々に歯車が狂い始める。美しくも厳しいバレエの世界、常に強くあることを求められ、第一人者でなければならなかった天才バレリーナの苦悩と、逆境により周囲に感謝することを知った礼奈の人としての成長を描く。ダ・ヴィンチ短期集中連載(全8回)。
(山岸涼子)1947年北海道生まれ。北海道女子短期大学美術科卒。萩尾望都、大島弓子、竹宮惠子などと共に24年組と呼ばれる漫画家の1人。 『日出処の天子』 で講談社漫画賞少女部門、『舞姫テレプシコーラ』 で手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。
全8回という短い中で見事なドンデン返し、裏切りの展開が今回も良かったです。主人公が43歳の礼奈というのがまた良かった。礼奈の人生と戯曲ジゼルを重ね合わせ、犠牲の精神で生きたジゼルに対しそれを演じようとしていた自分は結局自分のことしか愛してなかったのではないか、たった1人の娘さえも愛していなかったのでは、と内省する礼奈はちょっと可哀想。
今回もバレエの知識が身に付きます、さすがバレエの造詣の深い山岸氏ならではですね。テレプシコーラの連載休止の合間という位置付けだけではもったいない、上質の人間ドラマです。ぜひご一読を。

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評価:




(5つ満点)
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