小学生の親は仕事よりも難しい!ワーキングマザーの陽子は息子の小学校の初めての保護者会でお母さんたちを敵に回してしまう。困惑、当惑、泣き笑い。痛快PTA小説。 『小説すばる』 掲載を単行本化。
(加納朋子)1966年福岡県生まれ。文教大学女子短期大学部卒業。『ななつのこ』 で鮎川哲也賞、『ガラスの麒麟』 で日本推理作家協会賞を受賞。主な著書に 『少年少女飛行倶楽部』 『ぐるぐる猿と歌う鳥』 など。
(収録作品)女は女の敵である/義母義家族は敵である/男もたいがい、敵である/当然夫も敵である/我が子だろうが敵になる/先生が敵である/会長様は敵である
ライトノベル的展開で登場人物らもステレオタイプだし、マンガだと思って読むと結構楽しめます。あまたある学校PTA、子ども会、自治会の活動をちょっと(かなり)デフォルメしたらこんな感じかなぁ、主人公 陽子もマスコミ人とはいえエキセントリック過ぎるし。そこがまた面白いんだけど。
資料作成も得意で気のいい沢さんが4人もの要介護親を抱えていたり、ヤンキーシングルママの五十嵐さんが実はいい人だったり、ロリコン教師に盗癖のある母親、そして陽子本人にも重大な秘密が、とワイドショー並みのバラエティぶりはちょっとやりすぎな気はしないでもないけど。でもPTA活動を通じて陽子は信念を曲げることなく、よりよい活動を提案していこう、という展開は好感が持てますね。ラスト、陽子にみんながアンタ市議とかになったら?と言ってますが、本当にこういうアグレッシブな人が政治家ならいいんですけどね。
あとがきに 『決してPTA活動を揶揄しているのではない』 とあり、そこが一番読者に対して心配だったのでしょうね。ラストの 『七人の敵がいる、されど八人の仲間あり。』 でまとまったかな。かつての敵から仲間になった人もいて、陽子の人徳?すごいです。
評価:(5つ満点)