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七夜物語*川上弘美

sitiya.jpg小学4年生のさよは母さんと二人暮らし。ある日図書館で出会った 『七夜物語』 という不思議な本に導かれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷い込む。そこで出会った大ねずみのグリクレルと共に、二人は現実ではない夜の世界を旅することとなる。二人の旅の行方は、そしてその旅に絡む二人の周囲の人々の存在は。『朝日新聞』 連載に加筆修正して単行本化。新聞連載時の酒井駒子の挿画も併せて掲載。
(川上弘美)1958年東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。『神様』 でパスカル短篇文学新人賞、『蛇を踏む』 で芥川賞、『溺レる』 で伊藤整文学賞、女流文学賞、『センセイの鞄』 で谷崎潤一郎賞を受賞、『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。 主な著書に 『竜宮』 『古道具中野商店』 『ニシノユキヒコの恋と冒険』 など。


いつも言っておりますが私は川上弘美の小説を読むと、いつも読後激しく泣きます。そのため体調が良い時に限って読み始めるよういつも気を遣っております…そのくらい、川上文学私にはキツイです。でも本書は新聞連載の上、対象が 『小中』 学生、とあったのでさほど警戒せず読み始めました。読んでいくうちに思ったのですが、これちっとも小中学生向きじゃないです。一体どういう意図で対象を小中にしているのか?さっぱりです。

まず、さよと仄田くんが現在小4であるのは、1970年代初頭です。この場面を70年代にした意図も最後までよく分かりません。ラスト、現代では大人になったさよと仄田くんが出てくるのかと思いきや、そんな展開ありませんでした。読んでいくうちにこれは 松谷みよ子 『小さいモモちゃん』 シリーズみたいだな、と思いました。あの作品は、対象は小学生でありながら、その内容は離婚して苦労して子どもを育てながらも別れた夫の幻影に悩まされるママの姿を描く、なかなかシビアな内容となっています。でも松谷さんはそこがうまくて、キツイ内容をさらっと上手に表現してました。

川上さんはやっぱりちょっと毒があります。そこが魅力なのだとは思いますが。展開は、異世界に入り込んださよと仄田くんが、お互いの存在を疎ましく思ったり愛しく思ったり、また両親の若い頃の幻影に会ったことで両親への複雑な想いを捉え直したり、と小4の二人には過酷と思える精神の旅が続きます。和製ネバーエンディングストーリー、と言えばそうなのですが、私としては子どもにこんなに過酷な想いをさせる必要あるのか?とまたしてもフィクションなのに思ってしまったりして、何とも言えない読後感でした

でも、それが川上文学の魅力なのだと、思います。

評価:(今回は泣かずにすみました)


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木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
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年齢:
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誕生日:
1972/02/16
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