京都の外語大学でアンネの日記を教材にドイツ語を学ぶ乙女たち。日本式の努力と根性を愛するバッハマン教授の下、血を吐くような思いをしながらスピーチコンテストに向け励んでいる。ある日敬愛するバッハマン教授に黒い噂が流れ始める。第143回芥川賞受賞作。新潮掲載を単行本化。
(赤染晶子)1974年京都府生まれ。北海道大学大学院博士課程中退。『初子さん』 で文學界新人賞を受賞しデビュー。本作で芥川賞を受賞。
文学とは狂気、なのかもしれない。人形を可愛がるバッハマン教授の狂気、なぜかその教授に惚れている先輩の狂気、 『アンネの日記』 ドイツ語版をひたすら暗誦する私の狂気。誰も彼もクレイジーでそして一生懸命。ちょっと(だいぶ)世間からズレている外語大の乙女達の様子がまた、痛がゆい感じ。いつの時代も必死さっていいなぁと思わせてくれます。
久々に芥川賞らしい一冊。著者 赤染氏のテレビなど報道での立ち居振る舞いも、いかにも純文学作家でござい。という雰囲気が非常に気に入りました。
評価:




(5つ満点)
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