外国の治安が不安定なある国でテロ組織に人質とされた日本人観光客らが、それぞれの人生を物語として語り始めた。その物語が語り尽くされたとき彼らの運命は。『中央公論』 掲載を単行本化。
(小川洋子)1962年岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。 『揚羽蝶が壊れる時』 で海燕新人文学賞、『妊娠カレンダー』 で芥川賞、『博士の愛した数式』 で読売文学賞、本屋大賞、『ミーナの行進』 で谷崎潤一郎賞を受賞。主な著書に 『ブラフマンの埋葬』 『薬指の標本』 など。
(収録作品)杖/やまびこビスケット/B談話室/冬眠中のヤマネ/コンソメスープ名人 /槍投げの青年/死んだおばあさん/花束/ハキリアリ
ただの変わった話を集めた奇譚集だったら、読もうという気にはならなかったかも。千夜一夜物語のように、それぞれの物語に大枠を作るだけでこんなに個々の物語が魅力的になるとは。とある紛争地帯でテロ組織の人質となった日本人観光客8人。彼らが1話ずつ自分の人生を語り始めた。
短編は9編入っているのですが、最後は人質達を見守っていた軍部の人の物語、という設定になってます。私が好きなのはそれを含む
『B談話室』 『死んだおばあさん』 『ハキリアリ』 ですね。
物語を語ることとはすなわち、生きることである。というメッセージだと感じました。想定も爽やかです。この装丁の人、今流行ってますね。
評価:



(5つ満点)
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