隠蔽捜査3.5。警視庁刑事部長 伊丹俊太郎と大森署署長 竜崎伸也は幼馴染にして立場の違う同期の警視庁キャリア。堅物男の竜崎をいつも助けてきた伊丹だが、伊丹にも竜崎に言えない悩みがいつもあった。隠蔽捜査シリーズのスピンオフ。小説新潮掲載を単行本化。
(今野敏)1955年北海道生まれ。上智大学卒業。『怪物が街にやってくる』 で問題小説新人賞を受賞しデビュー。『隠蔽捜査』 で吉川英治文学新人賞、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。TBSドラマ 『ハンチョウ~神南署安積班~』 の原作シリーズなど著書多数。
(収録作品)指揮/初陣/休暇/懲戒/病欠/冤罪/試練/静観
私の好きな今野敏のシリーズ
『隠蔽捜査』 。そのスピンオフ版です。隠蔽捜査は竜崎が主人公ですが、この本は竜崎の幼なじみの伊丹が主人公。竜崎から見た伊丹はいつも調子が良く、歯切れも良く、マスコミ受けが大変良く、警視庁の顔と言える存在で悩みなど全くなさそう。なのですが、実際の伊丹には悩みが山積みなわけです、もちろん。
その伊丹の悩みがそえぞれ書かれている短編集なのですが、いつもいつもその悩みを竜崎に解決してもらっていて、いいわけ伊丹くん?とちょっとツッコミ入れたくなるほど、伊丹は竜崎に頼りっぱなし(笑)。でもいいか、実際に助けてくれるわけだから。
変人堅物の竜崎が面白いのであって、竜崎にくらべると伊丹さんはごくごく普通の人で悩みも普通のことで、それを変人に相談すると思いもよらない回答を寄越してくる、というのが面白い、ということでしょうか。隠蔽捜査のシリーズを既読でないとちょっと楽しめないのでご注意。
評価:



(5つ満点)
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