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前略、離婚を決めました

zenryaku.jpgお母さんがどうして離婚を決めたのか。子ども時代から結婚、出産、そして離婚までを赤裸々に綴りながら 『自立』 ではなく 『ともに生きる』 ことの困難さとかけがえのなさを伝える。
(綾屋紗月)1974年生まれ。二児の母。大学時代、関東聴覚障害学生懇談会にて聴覚障害学生とともに活動しながら、音声で話すことに高いハードルを感じる自分の言葉として手話を習得。2006年アスペルガー症候群の存在を知り診断名をもらい、手話を用いてパートナーである小児科医 熊谷晋一郎とともに講演を行う。熊谷氏との共著に 『発達障害当事者研究』 。

子どもの頃から周囲とうまくつながれないことを辛く思っていた著者 綾屋氏が、恋愛でつながった元夫との気持ちのすれ違いから離婚に至る経緯を、かなり赤裸々に告白した本書。自身の辛い感覚、性生活に至るまで詳細に、正直に伝えたい、伝えようとする綾屋氏の誠実さというか生真面目さ。だから生きるのが辛いのだろうなぁ。でも氏はこうして文章に書き表現する能力があることで自分自身をずいぶん救っているのだろうと思います。

私もずいぶん誤解がありました。つながりたくないんじゃなくて、うまくつながれなくて辛いんですね。放っておいて欲しいんじゃなくて、うまく理解して欲しいんですね。それから綾屋氏の元夫はアルコール依存症だった。これは特殊な例と捉えられるのかもしれないが、もしかするとこういう人は多いのかもしれない。つまりアルコール依存症の人は多く存在していて、その結果家族を壊す>離婚となる。これは今、別に特殊な例じゃないのかもしれないですね。

セックスについての記述も実に的確でスゴイ。恥ずかしい>でも大丈夫、だから成り立つこのコミュニケーションが、男(夫)側からの一方的な押しつけになってしまう様子がよく書かれており、なるほど…とちょっと目からウロコでした。あんまりセックスで苦労したことがない(?)私には本当にその転がり落ちていく課程がよく分かり、勉強になりました。応じることが愛情で、応じなければ愛情がないという男(夫)の言い分の恐ろしさ。そしてそんな夫とのセックスをやめられなかったのは、自分の中にある 『絶望的な孤独』 が原因だったと綾屋氏。こういう人は世の中に本当ーに多いのでは。

離婚を決めてから絶望の淵にいた彼女が、周囲との関わりを意識し人に助けてもらうことを知り、それを実践できるようになるまで。本当に長い道のりだったと思います。ここに至るまでのこれまでの道のりが試練だったのだとしたら本当に厳しすぎる。でも 『古井戸の中に取り残されてひたすら呆然と困っていただけの状態』 から、周りの人に 『助けてほしい』 と声を上げることができるようになっただけでも、人として大きな前進ではないでしょうか。

今でも幼い子どものように夕暮れ時にはどうしようもなく寂しくなる、という綾屋氏ですが、その寂しさを自分で受け止め、乗り越えようとできるようになったことは、誰もが等しく抱えるそれぞれの悩みへの対処の答えとなるのでは、ないでしょうか。

評価:(5つ満点)

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DaisyAKM/菜摘
年齢:
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誕生日:
1972/02/16
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