今年で120歳というおねえさんと出逢ったタカシは彼女に連れられ両親とも離れ遠い南の島で暮らすことになる。そこはめくるめく魔術的世界だった。南太平洋にあるトロンバス島を舞台に時空を越えて織り成される蠱惑的な物語。 『野性時代』 掲載等を単行本化。
(恒川光太郎)1973年東京都生まれ。沖縄県在住。 『夜市』 で第12回日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。主な著書に 『雷の季節の終わりに』 『秋の牢獄』 『草祭』 など。
(収録作品)南の子供が夜いくところ/紫焰樹の島/十字路のピンクの廟/雲の眠る海/蛸漁師/まどろみのティユルさん/夜の果樹園
夢かうつつか、現実か幻か。そんな思いが交錯する7つの連作短編集。途中 『オンの地』 (雷の季節の終わりに)の名前も出てきます。恒川氏が書くと本当に異世界は普段はよく見えていないだけで、私達の毎日の暮らしのすぐ後ろにあるんじゃないかと思えてしまうのです。今回の結論のない終わり方も見事ですね、他の作家で結論のない終わりだと消化不良感がすごくあるのに恒川作品は謎は謎のままでいいというか、それで十分納得させられて満足して読了してしまう。このマジックはなぜだ?
『夜の果樹園』 が秀逸ですね、すごーく怖いです。でもそれがたった一晩の出来事だったのか、何年も何十年も経っていたのか…それは永遠に分からないし分からなくてもいいことなのかもしれない。早くまた次作でこの空気、世界感に再び浸かりたいものです。
評価:(5つ満点)
待っていました
オススメ新刊続々
読み終えました
ホラー度【高】