懲戒免職になった公安刑事だった同期の蘇我。その直後彼は連続殺人の容疑者として手配される。同期として友人としてその行方を追う宇田川に上層部の圧力がかかる。なぜ蘇我は懲戒免職に、容疑者になってしまったのか。立ちはだかる組織の論理に立ち向かう警察官を描く。『小説現代』掲載を単行本化。
(今野敏)1955年北海道生まれ。上智大学卒業。『怪物が街にやってくる』 で問題小説新人賞を受賞しデビュー。『隠蔽捜査』 で吉川英治文学新人賞、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。TBSドラマ 『ハンチョウ~神南署安積班~』 の原作シリーズなど著書多数。
今回もテンポよく、エンタメ度サービス満点です。同期だった公安の蘇我がいきなり懲戒免職になるって…懲戒にすること自体が異例だし誰だって怪しむでしょ。蘇我の行方を追う宇田川が蘇我の元上司に、なぜ蘇我の所在を知りたいのかと聞かれ 『同期ですから』 と答えて上司が一瞬あぜんとするくだり、蘇我は天涯孤独で友人もいないと思われてた(と上司に言っていた)んだろうな、と分かる。ハムの人達のとことん合理主義なところがまた目に付いてしまう。実際今回の事件のようにカモフラージュされていることって結構あるのかなぁ…そしてそれは私達末端(?)の国民には決して見えてこないのでしょうね。
どういう人がハムの人に向いているのか?などと考えてしまいました。このシリーズ続編がありそうな雰囲気だけど、どうかな。
評価:(5つ満点)