明治39年、陸軍は国防のため日本地図の完成を急いでいた。陸軍参謀本部陸地測量部の測量手 柴崎芳太郎は日本地図最後の空白地点を埋めるため陸軍の威信にかけて剣岳の初登頂と測量を果たすよう命令を受ける。その頃創設間もない日本山岳会の小島鳥水らも海外の最新登山道具を装備して剣岳登頂を計画していた。陸軍と山岳会の登頂合戦の行く末は。
前評判がものすごく高かった本作、久々に勇んで観に行って…ちょっと外しました。テーマもすごくいいのですが、微妙に色々なところがズレているように感じましたね…なんだか残念という印象でした。
まず陸軍の測量手 柴崎を演じる浅野忠臣が本作ではイマイチでした。普段あまり感情を表に出さない浅野の演技ですが、それが効果的な場合と全くの逆効果な場合と極端なものだなぁということがしみじみ。正直この柴崎では、何を考えているのかさっぱり分からない。本当に彼は登頂したいのかい?とまで思ってしまった。山岳会というライバルに対しての感情も全く何も感じられないし、測量仲間に対しても帰りを待つ妻に対しても、全く淡泊すぎないか?あんまり感情を表に出さないのが軍人とはいえ、彼の場合はあまりにも出さなすぎ、見えなすぎで正直観ていてつまらなかった。
同様に山岳会の小島を演じる仲村トオル、彼も登山が趣味のお金持ち、という設定ならばもっとギラギラ感と表に出さないといけんでしょう!紳士的なのは慇懃なだけなのに、本当に紳士的じゃつまらないでしょ!その紳士的な態度の裏に実は先に登頂したいというギラギラした野心が見えてこないと、一体こちらも何が目的で登山しているのかさっぱり伝わってこない。
脇を固める香川照之、役所広司、鈴木砂羽らが今回も見応え十分だっただけに、もったいない感のする映画。いえ、でも自然の美しさは素晴らしいですね、ただ人物描写がねぇ。
評価:



(5つ満点)
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