女性客を対象とした高級デートクラブで男娼として働き始めた20歳の大学生リョウ。客である女性たちが彼に求めるものとは何か?自分が彼女らに与えられるものとは何か?クラブのオーナーやオーナーの娘、男娼仲間らそれぞれ悩みを抱える人々との交流を通じ、普通の大学生だったリョウの男娼としての成長を描く。
石田衣良、初めて読みました。人気の秘密が分かったような気がします。内容から言っても性描写が非常に多いのですが、男性作家が書いたとは思えない内容でした。さわやかというかさらりとした感じ。なるほど石田衣良のファンは女性が多いのかもしれません。あと最近増えている中性的な男性にもウケているのかもしれません。
ストーリーも破綻なくよく出来ており、デートクラブオーナーの抱える悩みやその娘とのやりとりなど、これまでの人生では関わりのなかった人々の存在を知り交流することで、リョウ自身もこれまで目的もなく流されて生きてきた自分の存在というものを意識し始めます。モラトリアム脱出ですね、羨ましい(私も脱出したいわ)。
それにしても1時間1万円でリョウのような人が来てくれるなら、私も頼みたいわ(笑)。いいなぁと思ったのは、リョウとの時間に渋谷の青山ブックセンターへ行き、重たい画集をたくさん買いそのまま原宿の自宅へと運ばせた40代の女性客。
『1人だと欲しい本があっても持って帰れないでしょう』 と彼に言う彼女。
私も、重い本をたくさん買ってくれて(女性客は自分で買っていたけど)持って帰ってきてくれる人が欲しいよぉ!(笑)
愛情をお金で買う。難しいテーマを書き切った石田衣良に拍手です。
評価:




(5つ満点)
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