英一の両親は結婚20周年を機にマイホームを購入した。でもそれは普通の家ではなくて古びた写真館だったのだ。心霊写真が写るという写真館を舞台になぜか心霊写真バスターに祭り上げられてしまった英一。家族の抱える確執と友人らの支えを通じて成長していく英一の高校生活を描く。連作4編を収録、書き下ろし。
(宮部みゆき)1960年東京都生まれ。 『我らが隣人の犯罪』 でオール讀物推理小説新人賞、『蒲生邸事件』 で日本SF大賞、 『理由』 で直木賞、 『模倣犯』 で毎日出版文化賞特別賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞、『名もなき毒』 で吉川英治文学賞を受賞。
さすが宮部、やっぱり泣かされました。この筆力、やはり日本を代表する作家ですね。 【少年を書かせたら宮部の右に出る者なし】 と言われる宮部、これまでもそしてこれからも健在です。
英一、テンコ、ピカ、すべての登場人物らが細やかに設定され響き合っています。ごく普通の日常(心霊写真騒動はあったけど)の繰り返しなのに、それぞれが抱える辛い想い、生きづらさは高校生の英一やまだ小学生の弟ピカにもやっぱりある。でもそれを家族が、会社の人が、周囲の人がこっそり助け合うことで支え合っている。
世知辛い世の中、まだまだ捨てたもんじゃない。ということを英一を通じ私達に再確認させてくれます。やっぱり宮部だなぁ。と深く実感できる、一冊です。
評価:(満点!)