学校という閉鎖空間に放たれた殺人鬼は高いIQと好青年の容姿を持っていた。高校を襲う血塗られた恐怖の一夜。極限状態での生への渇望が魂を貪り尽くす。学園を舞台にした戦慄のサイコホラー。別冊文芸春秋連載を単行本化。山田風太郎賞受賞。
(貴志祐介)1959年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業。岸祐介名義で 『新世界より』 の原点となる短編 『凍った嘴』 でハヤカワSFコンテスト佳作。『十三番目の人格-ISOLA』で日本ホラー小説大賞長編賞佳作、『黒い家』 で日本ホラー小説大賞、『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞長編賞、本作で山田風太郎賞を受賞。主な著書に 『青の炎』 『狐火の家』。
『新世界より』 で感動した私は楽しみに新刊を読み始めましたが…主人公がサイコパスという物語、あまりに恐ろしすぎます。あんまり酷いので誰にも勧められないと思っていたら、本読みの友人から 『悪の教典、読んだ?』 とメール…。みんな読みたい作家はおんなじですな。
『新世界より』 で教育をテーマに驚愕の世界を描いた貴志氏、今回もテーマはおなじく 『教育』 。舞台は現代の高校。教育の現場を斬新な切り口で描いてます、かなり斬新過ぎますが。
蓮見が高校教師になった理由というのがまたすごい、自分の思い通りになる人間が欲しかったから、だそう。それは担任するクラスの生徒、ということだそうだ。確かに生徒というのは先生に対して一度尊敬の念を抱けばかなり妄信的になることは否定できず…。しかし蓮見という男の描き方が実に徹底していて本当に恐ろしいです。蓮見は自分の計画の障害となるもの(人)を確実に除外することしか考えていません、つまりそれが人であれば除外、ということはすなわち…。
ラストの含みある終わり方も、恐怖心を煽ります。読了して本当に、ため息つきました。あんまり私好みではないですが、すごいプロットなのは確かです。
評価:




(5つ満点)
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