老夫婦から探偵事務所への依頼が来た。それは息子を殺し今は社会復帰している男を捜し出し、その男を赦すべきかそうでないかの判断材料を見つけて欲しいというものだった。探偵事務所に勤める僕は男を捜し始めるが。犯罪者と被害者遺族の心の葛藤を描く社会派ミステリ。
（薬丸岳）1969年兵庫県生まれ。駒沢大学高等学校卒業。 『天使のナイフ』 で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。著書に 『闇の底』 『虚無』 。
今回もテーマは犯罪者の贖罪、という難しいテーマ。自身も心に深い傷を持つ主人公が様々な状況の元犯罪者、その被害者家族らと関わり合う。主人公の勤める探偵事務所の所長がやはりキーマン。本当の悪党とは体誰なのか。むしろ本当の、根っからの悪党は存在するのか？と自問してしまう。今回も重いテーマを主人公という自分自身の立場に置き換え、問いかけてくる作品。
さて久々に野性時代（角川書店）を買いました、特集が薬丸岳だったのです。鮮烈なデビューからまだ４作品、作家としてはルーキーながらその存在感はやはり皆さん注目らしい。特集で薬丸氏が感銘を受けたというのが、同じく乱歩賞の高野和明 『13階段』 。これぞ小説だ！と薬丸氏に作家になることを決意させたという一冊、私も即効で図書館予約をしました。楽しみです。
現在連載中の小説もかなり面白そうです、単行本化が待たれます。
評価：
（５つ満点）
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