学校じゃ学べない社会の本当を語ろう。日本を代表する社会学者が、自分と他人、こころとからだ、本物とニセ物、など社会学の最先端の知識をふんだんに盛りこみ解説。社会学の基礎を学ぶ中高生はもちろん大人にも。
(宮台真司)1959年仙台市生まれ。東京大学大学院院人文科学研究科修了。社会学博士、首都大学東京教授。社会システム理論専攻。主な著書に 『権力の予期理論』 『終わりなき日常を生きろ』 など。
私はこの世の中で一番難しい学問の一つが社会学ではないかと思っています。社会、すなわち私達が生きている今この世の中を論じる学問なんて。簡単そうに見えて一番難しいのでは。誰もが社会すなわち他者との関わりを無視して生きることができない現代において、中学生を対象に社会を論じることの大切さ、難しさをつくづく感じます。というか中学生でなくとも十分社会と自分の関わりを意識しそれについて真っ向立ち向かうのは困難なことなのだと今更ながら感じます。
社会学者としての宮台氏は、その過激な発言でも有名ですが、そうした先入観を抜きにしても社会そのものを常に考え、論じ、その方向性を見いだそうと常に模索してる氏の姿勢には、やはり見習うべきものが多くあります。 『誰もがエリートを目指さなくてはならない日本社会の在り方は間違っている』 『一部のエリートが社会構造を考え、人々を牽引する力と立場を持つべきだ』 という主張、ここだけ見るとファシズムを感じますが、実際のところこれは核心を突いているのではないでしょうか。
誰もが、すべての学校の科目において優秀な成績を修めなくては評価されない、現在の教育システム。個性個性と口では言いながら実際には全員に同じ学習をさせ、同じ成果を求める義務教育の在り方。果たしてそれでよいのでしょうか?もちろん一律に、平等に教育を施すことは理想ですし重要なことですが、そこから外れる子どもを評価しない、その結果疎外しようとする現代の教育システムには、やはり欠陥があると言わざるを得ません。
誰もが属している社会という大きな枠組み。時に自分自身の社会について、考える機会が大人も子どもも必要ですね。
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