◆特集 源氏物語◆【新訳・超訳 源氏物語】
夕顔(江國香織)/若紫(角田光代)/末摘花(町田康)/葵(金原ひとみ)/須磨(島田雅彦)/柏木(桐野夏生)
この企画は最高に面白い!と思い書店に走り、そして見事アタリでした。なんといっても【新訳】そして【超訳】ですよ、超約とはまた面白い言葉を作り出したものです、文字通り 『ハチャメチャな訳』 という仕上がりになってます。
このうち 『新訳』 の範疇に含まれるのは江國香織の
『夕顔』 、島田雅彦の
『須磨』 ぐらいで、あとはもう
『超訳』 。特に角田光代の
『若紫』 桐野夏生の
『柏木』 は良かったです。
『若紫』 舞台を貧しい外国にし、そこの女郎屋へ裕福な外国人の客(源氏)が通ってくるという設定。源氏は店のお姉さんではなくどうやら自分に興味があるようだ、と気付いた下働きの若紫は、源氏が自分をここから連れ出してくれるのではないかという期待を抱く。
『柏木』 大胆にも語り手を女三宮にしたところが素晴らしい。自分を躾けようと躍起になる源氏に最初から愛想を尽かし、同年齢の自分に執心している柏木に興味を持つ女三宮。浅はかな振りを装い柏木に自分の姿を垣間見させることから始まる、女三宮の源氏への復讐。実際に桐野氏の解釈通りでは?と思わせる、世の中の源氏びいきにやや不満の読者の気持ちを晴らしてくれる。
『末摘花』 これも新訳というか超訳というか…町田康のロック節で爆笑の末摘花のできあがり。ただでさえこの章はギャク的要素が高いのに、これじゃ本物のギャグで、町田氏にかかれば末摘花の侍女たちが食べていたという粗末な食事は 『じゃがりこをお湯にひたしたようなまずしい食べ物』 だそうだ!いったいそれはどんなものなのだー!
いずれも必読、いつでも貸出可です。
評価:




(5つ満点)
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