(星に降る雪)雪深い観測所で静かに働く田村。ある日亡き親友の恋人亜矢子が訪れる。親友の死を共に悼む2人。田村は彼を亡くした時の不思議な体験を語りだす。(修道院)クレタを訪れた私は古い修道院で見たイコンが縁で、その土地の老婆から不思議な昔語りを聞くこととなる。その古い修道院はある男がたった一人で修復したものだったのだ。不思議な体験を描く物語集。
(池澤夏樹)1945年北海道帯広市生まれ。都立富士高校卒業、埼玉大学中退。詩人、翻訳家、小説家。翻訳はギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけている。 『スティル・ライフ』 で中央公論新人賞、第98回芥川賞、『マシアス・ギリの失脚』 で谷崎潤一郎賞、 『花を運ぶ妹』 で毎日出版文化賞を受賞。主な著書に 『キップをなくして』 『静かな大地』 『きみのためのバラ』 など。
(収録作品)星に降る雪/修道院
池澤夏樹は
『祈り』 に対して特別な思い入れがあるようだ。2作ともに祈る男の物語。
【星に降る雪】 空へ近づこうとする主人公。親友の死の癒しがそこにあるのか?
【修道院】 ギリシャ・クレタ島の情景がありありと浮かぶ。『ぼく』 が老婆に伝え聞いた話、という設定であるのにいつの間にかそこにいるかのように物語に吸い込まれてしまう。
どちらも本の題名として出ていることから、どちらかに決められなかったんだろうなぁ。2つの作品が
/で区切られ題名とされている本は珍しい。
評価:



(5つ満点)
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