昨日小学校を卒業して今日から春休み。でもなんだか私の頭はもやもや。隣の家との争いが原因で家の中もぎくしゃくしている。ある日私はもう家に帰らないで捨てられた古いバスのなかで暮らすことを決めた。 中学生になったばかりの少女の心の葛藤を描く。
(湯本香樹実)ゆもとかずみ。1959年東京都生まれ。東京音楽大学卒業。オペラの台本執筆からテレビ、ラジオの脚本家を経て小説家に。『夏の庭 The Friends』で日本児童文学者協会新人賞、児童文芸新人賞を受賞。十数ヶ国で翻訳出版され、ボストン・グローブ ホーン・ブック賞、ミルドレッド・バチェルダー賞を受賞。主な作品に 『ポプラの秋』 『西日の町』 など。
電車での小旅行(県立美術館行き)に合わせて、ずいぶん前に買ってあった文庫本をひとまず読破。これはYAですね。正直読了直後はイマイチ印象が薄かった本書なのですが、巻末の角田光代氏の解説ですごーく腑に落ちました、角田氏の解説が素晴らしい、必読です(あれ?)。
思春期特有のイライラ、思い通りにならない自分の周りの世界、大人の憂うつが理解できる年頃でありながら自分は何もできない絶望感。おかあさん、おとうさん、おじいちゃん、そしてノラネコにエサを与え続けるおばさん、という周りにいる大人達。人から見れば子どもの世界は小さな世界に見えても、そこに生きる子ども達にとっては豊かで広がり続ける世界なのかもしれない。
という、お話です。作者湯本氏は音大卒だそうです、なんとなく流れるような音楽的なイメージを感じます。溢れる才能で羨ましいなぁ。
評価:(酒井駒子の装画だとつい買っちゃいます)