警察庁から大森警察署署長に左遷されたキャリアの竜崎伸也。管内で強盗犯の立てこもり事件が発生。混乱する現場で対立する捜査一課特殊班とSAT。現場で指揮する竜崎に思い切った決断が求められる。『隠蔽捜査』シリーズ第2作。 山本周五郎賞、日本推理作家協会賞受賞。
(今野敏)1955年北海道生まれ。上智大学卒業。『怪物が街にやってくる』 で問題小説新人賞を受賞しデビュー。『隠蔽捜査』 で吉川英治文学新人賞、本作で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。TBSドラマ 『ハンチョウ~神南署安積班~』 の原作シリーズなど著書多数。
竜崎が帰ってきました!相変わらず 『変人』 ぶりを発揮している竜崎は、左遷で降格人事で赴任した大森署の署長としてのっけから 『会費5000円以下の20名以上出席の立食パーティでない会合だから出ない』 などと建前バリバリを本音で言いまくり、PTAも教育委員会も煙に巻きます。名より実を求めひらすらに我が道を行く竜崎のスタイル、これ以上のヒロイズムがあるでしょうか?
今回も竜崎は家族の悩みを抱えながら大事件に挑みます。妻が倒れ入院、ガンかもしれない。でも現場では冷静に事件に取り組む竜崎。今回もただの立てこもり事件が若干時間がかかったとはいえ無事解決した…と思っていたところへ、とんでもない大ドンデンが待ってます。その仕掛けも見事ですね。
直感と言える違和感を決して軽視せず、全ての捜査員の声に耳を傾ける努力をし、その結果見事に真実を暴いてしまう。うーんこれまたこれ以上のヒロイズムがあるでしょうか?
『隠蔽捜査』 で初めて出会ったノンキャリア刑事の戸川とは、本作を通じてこれからも深い因縁で付き合って行きそうな雰囲気です。続編がいつも楽しみなシリーズになりました。
評価:(5つ満点)