訳あって下町、谷中の芭子の祖母の遺した家で共同生活を送る芭子と綾香。一回りも違う2人だがささやかな幸せを探しながら一生懸命生きてきた。そんなある日綾香が商店街の福引で大阪ユニバーサルスタジオ1泊旅行を当ててきて…。刑務所で知り合った2人が出所後肩を寄せ合い生きる様子を描く。『いつか陽のあたる場所で』 続編、yomyom7号掲載。
(乃南アサ)のなみあさ。1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『涙』 『鍵』 『しゃぼん玉』 など。
芭子と綾香がまたまた帰って来ました!相変わらず神経質な芭子と相変わらず能天気な綾香、2人が大阪、ユニバーサルスタジオへ行くことに。
一生贅沢や娯楽とは縁がないと思ってた芭子、大好きなスヌーピーに溢れるユニバーサルスタジオを見て喜ぶ様子を見て、綾香ならずとも読者も本当に良かったなぁとホロリとしたところで…。綾香の旧知に遭う。この展開がやはりさすがだなぁと思う。
どんなに忘れたくとも忘れられない、一度刑務所に入ったという事実。何よりもその事実から自分自身の思いが逃れられない。山本譲司氏 『続 獄窓記』 を読んだ後だけに余計に芭子と綾香の心の痛みが沁みます。
本当に【いつか陽のあたる場所】に、芭子と綾香は辿りつけるのでしょうか?次の回ではそろそろ芭子ちゃんに仕事が見つかっているといいのですが… 今回もラストが秀逸。
評価:(5つ満点)