心配症の芭子と能天気な綾香。一回りも年の違う仲の良い友人である2人には、他人に言えない過去があった。世間の目に怯えつつもいつかは自分たちも陽のあたる場所で生きて行きたいと、人生を模索する日々。刑務所帰りの2人を描く、『いつか陽のあたる場所で』 続編。yomyom9号掲載。
(乃南アサ)のなみあさ。1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『涙』 『鍵』 『しゃぼん玉』 など。
芭子ちゃんが三度帰って来ました。前回失業してから元気のなかった芭子が今回は冒頭から楽しそう。というのもやっと芭子は自分の仕事と言えるものを見つけたような気がするのです。ようやく人生が充実しかけてきたところへ、お騒がせ巡査 高木の一言が芭子を激しく動揺させます。
高木の自分への一言が、自分の前科を責めるものだと思い込む芭子。綾香同様読者も、いくら高木巡査がおバカさんだからってそんなことを知ったとしても直接芭子に言うはずがない、と思いつつ物語は進んで行きます。
自立を目指す芭子と綾香の姿を通じ、毎回彼女たち、特に頼りない芭子が成長していく様を見ることができるのが何より嬉しいです。不自然でなく劇的でなく、ごく自然な形でその成長を読ませてくれる本シリーズ、さすがです。
犬に服を着せるのは私も反対でしたが、芭子の
『弱い小型犬には保温、保護になり犬も喜ぶ』
『犬に邪魔にならない服でさらに飼い主も喜ぶ』
という意見になるほどなぁと思いました。
評価:




(5つ満点)
PR