高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。チェーンソー片手に山仕事を始めるが、先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来に悩まされる日々。さらに村には秘密があったのだ。厳しい状況に置かれた林業を生業とする村の人々のひたむきさとそこで成長する若者を描く。
(三浦しをん)1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『まほろ駅前多田便利軒』 で直木賞受賞。主な著書に 『しをんのしおり』 『光』 『三四郎はそれから門を出た』 など。
林業という身近でない話題を選んだのがまず面白い。従事する人々が山を、神様を大切にしている様子、本当にあった神隠し、など主人公 勇気が少しずつ山の暮らしを知り村へ溶け込んでくる様子が伝わってくる。三浦しをんはやっぱりこういうYA向けっぽいのがうまいな。
山で生き、山に生かされそれに感謝してる人々の様子、排他的な様子、その村人が徐々によそ者の勇気に心を開いていく様子もいい。やや夢物語過ぎるけどそれもいいでしょう。ヒルやダニや花粉の話、毎日同じ特大おにぎり弁当(たまにコロッケ入り!)などの細かい描写も良かった。
普段街で暮らす私達が知らない林業という世界とそこで暮らす人々について、実によく調べてあると思う。そこの切り口を都会で育った軟弱ナンパ青少年にしたちゃうところがやっぱり、三浦しをんだなぁ。えっとこの本でもBL要素はあったのかなかったのか?(笑)
評価:(5つ満点)