友もなく女もなく1杯のコップ酒を心の慰めにその日暮らしの港湾労働で生計を立てている19歳の貫太。或る日彼の生活に変化が訪れるが。芥川賞受賞。『新潮』 掲載をまとめて単行本化。
(西村賢太)1967年東京都生まれ。『暗渠の宿』 で野間文芸新人賞、本作で芥川賞を受賞。著書に 『どうで死ぬ身の一踊り』 。
(収録作品)苦役列車/落ちぶれて袖に涙のふりかかる
ダブル芥川賞のうちの1作。私小説、ということでかなり悲壮感漂うハードな内容では、と覚悟して臨んだのですが、思っていたよりずっとソフトな内容でした。ちょっと拍子抜け?
主人公 貫太はまさに著者 西村氏の化身で、ひたすらに西村氏は私小説にこだわっているそうです。人とコミュニケーションがとれず、それゆえにずっと孤独である貫太。同情したいようなしたくないような。その微妙な描き方はやっぱり巧いと思います。
次回作もきっと、読みます。
評価:(5つ満点)