ショッピングはいい。ショッピングをしている間、私は色んな事を忘れられている。初めて彼とショッピングに行った時、彼の無機質な張り付いたような微笑みが印象的だった。この違和感は年齢差からくるものだろうか。たった六つの差。それだけの事のはずだ。孤独を埋めるために買い物をする女と若い恋人の物語。yomyom6号掲載。
(金原ひとみ)1983年東京都生まれ。文化学院高等課程中退。児童文学研究家、翻訳家の金原瑞人を父にもつ。『蛇にピアス』 ですばる文学賞、芥川賞を受賞。主な著書に 『アッシュベイビー』『オートフィクション』 『AMEBIC』など。
『蛇にピアス』 以降なかなか衝撃的な設定の小説が多く、手にしてませんでしたがやはりこれを読んでも思うのは、金原ひとみ氏は文章が上手い。ということですね。
哀しさをただ悲しさとして描くのではなく、主人公本人すら意識しているのかいないのか分からない客観的な視点から描くことで、その哀しみを一層際立たせているこの感じ。そうこの 『感じ』 が出せる若い作家って素晴らしい。
やっぱり金原ひとみはもっと純文学を書いてくれーーできれば私がビビらず読めそうな設定のやつ(笑)。
評価:




(5つ満点)
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