かつて高校でそれぞれ陸上界の寵児と言われていた灰二と走。事故と事件というそれぞれの理由から陸上を諦めかけていた2人が、奇跡のような出会いから無謀にも陸上とかけ離れていた者たちと箱根駅伝に挑む。それぞれの頂上を目指して箱根への挑戦が始まった。長距離を走ることは二人にとって生きるに等しいことなのだ。長距離選手にとって必要な真の 『強さ』 を謳いあげた、直球の青春小説。
(三浦しをん)1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『まほろ駅前多田便利軒』 で直木賞受賞。主な著書に 『秘密の花園』 『光』 『三四郎はそれから門を出た』 など。
箱根駅伝が始まってしまいました!これを読んでいる最中にも5区 山登り区間では東洋大 柏原選手が今年も力走快走中!ゴボウ抜きであっという間に順位を繰り上げてきました。こんなの見せられちゃー余計に本を読む手にも力が入ります(笑)。恐るべし箱根の山とその山を登る選手達、よくあんな勾配のところを登って下って、それも走りながら行くもんだ。
本作は、しをんちゃんお得意のBLモノ、これはもう間違いなくBL。心に傷を持つ青年らが集い、共同生活をしながら共に同じ目標に向かって突き進む…うーんいいですね。YA向けとされている本書ですが、むしろくたびれかけた私達中年以降が読むのにふさわしいのではないでしょうか(笑)。原作は映画では省いていた一人一人のバックボーンを丁寧に描いており、楽しめました。映画では割愛されていた個々のいさかいなどもあります、うーんそうだったのか。恋愛模様の描き方では原作はちょっと複雑ですが映画では上手に設定を変えており、映画の出来の良さも改めて確認できて良かったですね。
毎年箱根駅伝を見るたびに、走の、灰二の、神童の、ユキの、みんなの力走を思い出し楽しめることでしょう。原作、映画共に 『努力なんてムダ』 と思っているスネた大人のアナタに、強力オススメです(笑)。
評価:(5つ満点)