のゆりは33歳の主婦。夫である卓哉とは結婚して7年、卓哉には恋人がいることが分かった。とまどいながらものゆりにも年下の男の影が。夫と妻、そして恋人達のすれ違う気持ちと心。移りゆく愛の形をのゆりの目線から描く。
(川上弘美)1958年東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。『神様』 でパスカル短篇文学新人賞、『蛇を踏む』 で芥川賞、『溺レる』 で伊藤整文学賞、女流文学賞、『センセイの鞄』 で谷崎潤一郎賞を受賞、『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。 主な著書に 『竜宮』 『古道具中野商店』 『ニシノユキヒコの恋と冒険』 など。
また泣いた。川上中毒再発。
のゆりはごく普通の主婦、名前だけが素敵というか名前くらい変わったものにしないと他に特徴がない、というほど平凡な主婦。これまで既読の川上作品に登場する女性主人公はみんな個性があったからのゆりという存在が珍しく、割に共感して読める。
淡々と流れていくようでその実のゆりは多くの人と出会い、触れ合い、考え方を変え成長していく。
『うちにいても外へ出て一人になっても寂しいのは同じ』
とまで考えられるまでに大人になったのゆりの成長はすごいと思う。
結局人は自分の2本の足で立って生きてゆくしかないのかなぁ、と思った。
評価:




(5つ満点)
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