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魂萌え!*桐野夏生

img20050821.jpg夫の急死後、次々と露見する彼の抱えていた秘密の生活。世間という荒波を漂流する主婦、敏子。60歳を前にして敏子の生きるべき道は?ささやかな 『日常』 を送ってきたはずの主婦に突然降りかかる、人生の分岐点。2004年 『毎日新聞』 連載小説の単行本化。

言うまでもなく、鬼才桐野夏生の渾身作です。必読です。

敏子は自分は幸せだったのか。夫の死に際して改めて自分の人生を問い直す。夫が自宅の風呂場で突然死し、その辛い現実に直面している中怒涛のように敏子を襲う、周囲の人々の悪意。家を離れていた子どもたちの勝手な言い分、全く知らなかった長年に渡る愛人の存在、全てが敏子にとっては初めて直面する、しかもたった一人で立ち向かわなくてはならない 『悪意』 である。

私も人の 『悪意』 にすごく弱い。八方美人というせいもあるけど、この頃は特に人を見る目がないんじゃないかと落ち込むこともある。義父母はよく冗談か叱責か、私のことを 『世間知らず』 と言うけれど、この頃本当に自分は世間知らずかもしれないと時々思います。

評価:(満点満点!)

いかに周囲の人々に大事にされ、守られて生きてきたか。そのために自分だけが知らないことが多かったか、夫に裏切られ続けてきたか。でも敏子には言いたい、貴女はだんだんと強くなっていったけど、それでも夫との日々には何らかの信頼関係があったはずだと。

夫の愛人が敏子に、生前夫が 『女房なんて古い家具と同じ、取り替えるのも面倒なのでそこに置いているだけ』 と言っていたと言われ、ショックを受けるシーンがあるが、これは現実をよく表していると思う。でも、その古い家具は生活には必要なモノなのだ。ないと困るし、寂しいものなのだ。

でもそんな風に言われていた人生なんてイヤだと敏子は一つずつ、それまでは避けてきた他人とのぶつかり合いも経験し、徐々に強くなっていく。夫はまだ許せないが、少しずつ彼の生き方を理解したい気持ちが出てきたというところで、物語は終わる。

まだまだ自分も強くなれる。
そう思わせてくれた一冊だった。敏子は59歳にして不満をぶつけるべき相手を亡くし、力になってくれるはずの子どもたちとは意見が合わず決別を決意したが、私はまだ33歳。これからどう生きるべき?と考えてしまった。

あまりにも結婚の現実を描いた作品なので、これから結婚される方にはオススメしたくありませんが、結婚して数年経つご夫婦は必読です。

しかし桐野夏生は上手い。秀逸です。新聞連載小説でここまでリズムよく書けるものだろうか?
まさに人生 『魂燃えよ!』 ですね。

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木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
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