事故で母を失い継父と暮らす蓮と楓。継母とささやかな生活を送る辰也と圭介。蓮は妹を苦しめた継父の殺害計画を立てる。雨のせいで彼らは過ちを犯す。雨のせいで彼女は殺意を抱く。暗転する事件の果てに2組の兄弟がたどり着いた慟哭と贖罪の真実とは。大藪春彦賞受賞作。
(道尾秀介)1975年兵庫県生まれ。玉川大学農学部卒業。『背の眼』 でホラーサスペンス大賞特別賞、『シャドウ』 で本格ミステリ大賞、『カラスの親指』 で日本推理作家協会賞、本作で大藪春彦賞、『光媒の花』 で山本周五郎賞、『月と蟹』 で直木賞を受賞。
どちらも本当の両親を亡くした兄弟の、義理の親への確執を皮切りに始まった物語が見えない真犯人によってつなげられていくストーリー。この真犯人出現にちょっとかなり驚くけど、ちょっと強引な気がしないでもない。トリックのために様々な事象が上手に用意されすぎちゃってるというか…。その部分では楽しめることは楽しめますが、全体としては情景が浮かびにくく、蓮楓の兄妹と辰也圭介の兄弟の境遇があまりにも似通っていて、うまく切り替えられませんでした。そこがちょっともったいない感じ。
人物についても、辰也圭介の継母はどんな人物かよく伝わってくるのですが、蓮楓の継父の方は実母の死後、ただ単に暴力を振るうようになり会社を勝手に辞めてきちゃった、という事実だけで、全然人物像が伝わりませんでした。その先を知りたかったのに、実はこういう人でした…といわれても蓮以上にこっちも戸惑います。
そして龍神の雨ってのは、一体…?直木賞受賞作
『月と蟹』 を読もうかどうか、迷う作風です。
評価:



(5つ満点)
PR