彼は小説に命を懸けると何度も言った。小説は悪魔かそれとも作家が悪魔なのか?恋愛の抹殺を描く小説家の荒涼たる魂の遍路。本当に恐ろしいものは人の内側にあるのだろうか、人の内面を描こうとする作家の断罪を描く。
(桐野夏生)1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。『顔に降りかかる雨』 で江戸川乱歩賞、『OUT』 で日本推理作家協会賞、『柔らかな頬』 で直木賞、『グロテスク』 で泉鏡花文学賞、『残虐記』 で柴田錬三郎賞、『魂萌え!』 で婦人公論文芸賞、『東京島』 で谷崎潤一郎賞を受賞。 また 『OUT』 で日本人初のエドガー賞候補となる。
正直桐野著 『OUT』 とは全く無関係な話で、表紙は似せるは題に含みを持たせるわ、ちょっとその話題で引っ張りすぎでは?(笑)主人公の孤独感ばかり、それも一方的な思いばかりが前面に出ておりますが、人ってこういう風に自分のことしか見えないもんだよな。と納得させられてしまうのはやはり桐野氏の技量ですね。同じく女の身勝手を描いた角田光代 『森に眠る魚』 とは同じ★3でも読了感が全く違います。
桐野氏に言わせれば愛情すらもそれは身勝手なもの、人の内側(inside)のもの、ということなのでしょうか。
評価:(5つ満点)