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13歳から学ぶ日本の貧困*宇都宮健児

13hinkon.jpg日本をむしばむ 『貧困』 が60分で見えてくる。どんなに働いても収入が増えず人間らしい生活を送れない人が増えている日本。その貧困の現状と貧困を生み出す社会の仕組みを解説するとともにこれから世の中に出る若者が考えるべきことを説く。
(宇都宮健児)1946年愛媛県生まれ。東京大学法学部中退。弁護士。日弁連多重債務対策本部本部長代行、反貧困ネットワーク代表、年越し派遣村名誉村長などを務める。主な著書、共著に 『反貧困-半生の記』 『反貧困の学校 貧困をどう伝えるか、どう学ぶか』 『派遣村 何が問われているのか』 など。 

著者である弁護士の宇都宮先生は、反貧困ネットワークの活動の一環として、現在東大で貧困を伝える講義をなさっているそうです。東大という最高学府にいる学生達ですら、毎回の授業で貧困の実態に驚くばかりだそうです。何でも知っていそうな東大生でも知らない、日本の貧困の現実とは。

貧困とは:人間らしい暮らしができない状態
を指す。と本書にあります。人間らしい暮らし、これは憲法にも保障されている基本的人権ですね。そして、
相対的貧困:その社会のメンバーとして生きて行くのが困難な状態
この 『相対的貧困』 という言葉が一番のキーワードです。 『絶対的貧困』 が今日食べる米がない、という真に切迫した状態であるのに対し、相対的貧困は 『その社会に於いて普通に生活するのが困難な状態』 だそう。と書くとややこしいですが、本書の例としてこうありました。

靴がない、というのは貧困だが、周囲の人も靴をもっておらず裸足で生活している社会であれば、靴は必要がないとも考えられる。
しかし、現代日本に於いて靴がない、ということはそれでもう社会の一員として生活できない、という状態である。

『昔(昭和20~30年代)はみんな貧乏だった』 という状況と、現代の貧困、は根本的に違う。格差と貧困をごちゃまぜにしてはいけない、というのが本書の強いメッセージです。現代社会ではその仕組みが貧富の差を広げ(サブプライムローン)、親が貧困なら子も貧困でそこから抜け出せないという重い事実、生活保護は国民一人一人が生活に困窮した時に受け取ることのできる憲法に保障された権利である、など大人の私も知らないこと、知っていてもよいことなのに目を向けてこようとしてこなかったこと、がどんどん挙げられています。

まずは現実を知る、現代社会に実際に貧困が存在するという事実を知る、ということ。何もできないからと目を背けずにまず知ることだけでも、本書から一緒にしてもらえれば、嬉しいです。貧困に陥ってしまった人には、他者との触れ合いが一番の支援となる、そうです。お金だけじゃなく食べ物だけじゃなく、人との触れ合い。色々な意味で自分自身も身につまされる、一冊でした。

評価:(大変分かりやすい構成)

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木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
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名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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