その村に頭に角が生えた子どもが生まれたならば、その子は13歳になれば 『霧の城』 へ生贄として差し出さなければならない。それがいにしえからの盟約なのだ。もし盟約に背けばたちまち霧の城の主である闇の女王は世界を滅ぼしてしまうだろう。そしてその年、若い夫婦の間に生まれた男の子には、角が生えていた。
同名のプレイステーション版ゲームソフトに触発された作者が書き下ろしたことで話題になった、ファンタジー小説。ちなみにこれを読んでもゲームの攻略には全然関係ないそうです。
以前も書きましたが、私は宮部さんのファンタジーはあまり好きじゃないはずなのにっ。どうしてまたファンタジーを選んじゃったんだろう。
全体としては悪くはないです。ただ宮部さんのいつもの悪い癖?で2章辺りの記述がしつこすぎる。いつもそう、真ん中辺りがしつこすぎる。今回の作品はゲームソフトからここまで発展させた、という点で賞賛に値するのではないかと思います。ってこのゲーム見てないくせに言うのもなんですけど。
1章の物語の設定の箇所や、3章の霧の城の全盛期の頃の物語は描写もとてもよく、楽しめました。
毎回宮部作品のファンタジーを読んで思うのは、この人は本当にこういうファンタジーの世界を愛しているんだろうな、ということですね。同じ人が
『火車』 や
『模倣犯』 書いてるなんてねぇ。
以前大沢在昌先生の講演会で先生が宮部さんのことを
『みゆきちゃん』 と連呼していましたが、確かに
『みゆきちゃん』 ってタイプなんだろうと思います。だから宮部さんにとっては時々ファンタジーを書いて心のバランスを取るのが必要なのかもしれないな、なんて思ったりしてます。
評価:



(5つ満点)
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