アンナとロッテ

とっても良かったです。第二次大戦の最中、敵同士であるドイツとオランダに別れて暮らしていた双子の姉妹を取り巻くそれぞれの状況が、長年互いを求めていた気持ちを徐々にすれ違わせて行ってしまう、悲しい物語です。

第二次戦争直前のドイツ。病気で両親を亡くした双子の姉妹、アンナとロッテ。病弱で結核であったロッテをアンナはいつも気遣っていました。姉アンナはドイツの貧しい農家の親戚に引き取られ、学校へも行かせてもらえず農場の手伝いをムリヤリさせられます。一方妹ロッテはオランダの裕福な親戚に引き取られ、大切に育てられ大学でピアノを専攻します。

２人はそれぞれの環境で恋人と出会い、将来を約束するのですが、アンナの恋人で後の夫はナチスの親衛隊、ロッテの恋人はユダヤ人の青年で、事件に巻き込まれついにはアウシュビッツでその生涯を終える結果となってしまうのです。

評価：（必見！）

互いに愛しさと憎しみをぶつけ合う姉妹。それぞれの立場を認識し、もう二度と会うことはないと生き別れた姉妹が、老婆となって再び出会い、語り合う現在のシーン。構成もバッチリです。

戦争というものが、ささいな幸せをもたらしてくれる毎日の生活にいかに大きな影響を及ぼすものなのか、ひとりひとりの人生にいかに大きく作用するか、いかに不毛なものかを考えさせられる、素晴しい作品です。

今私達の毎日の生活が平穏で、ささいな幸せが周りにたくさんあるのも、戦争がないから。
戦争が起こり、家族や大切な人がその犠牲になるとしたら。
戦争を知らない世代の私達こそ、今考えるべきだと思います。

（おまけ）写真のアンナとロッテ、メイドをしているアンナを訪ねてきたロッテが一緒にメイド服を着てお手伝いをするところです。こういう昔の衣装も結構見ていて楽しいですね。