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嫌われ松子の一生

img20060608.jpg花も実もある松子の人生?
松子を演じた中谷美紀のインタビュー記事が映画公開前に新聞に載っており、かなりキツイ撮影だったようで

『一度あまりにもキレてしまい、監督の前にお金を積んで 「これまで撮影にかかったお金はお返ししますので別の女優を雇ってくださいっ」 と言おうと思ったこともあった。』

とありました。ますます映画必見と思ってしまいました。

で映画。
原作にほぼ忠実でありながら、さすが下妻物語も撮った監督。原作のエピソードをほぼ忠実に要所要所盛り込みながらも、途中ラップ調の音楽でミュージカル仕立てにしたり、原作にはないエピソードも盛り込みながら、エンタメとして原作とは独立した作品に仕上げていました。

原作はややこしい人間関係とすぐ男にのめりこんでしまう松子の性格が面白いので、そこの端折りはやや不満に感じるところもありますが、2時間という枠で作るならばそれは仕方がないというところでしょう。

原作の松子の人生は破天荒も破天荒、花咲く道なんてどこの話。悲惨度は最悪で男には殴られっぱなし捨てられっぱなし、挙句には1人刺し殺して刑務所行き。それでもめげずにまた男に入れ込む所は原作のまま。

評価:(5つ満点)

風俗店での働きぶりと人間関係が後の松子の人情を育てた部分が大きいので、本当はそこもじっくり描いて欲しかった。あと刺し殺してしまうヒモとの生活もそこまで追い詰められる松子を本当は描いて欲しかったけど、やっぱり時間的な問題でムリだったのかな。

どちらかというと映画では、松子の人生を子ども時代に遡り、子ども時代から病弱な妹と妹を大事にする父親にコンプレックスを抱いていたことに焦点を絞っています。最後の回想シーンにも子ども時代の松子が出てきて、この回想シーンに時間をどうしても割きたかったから他の部分を割愛せざるを得なかったのかも。
でも映像ならではの表現をしなくては原作との違いを出せないので、これはいいのではないでしょうか。

原作でも映画でも松子は与えて与えて与え続けて、燃え尽きて死んでいきます。しかし人は 『何をしてもらったか』 ではなく 『何をしてあげたか、何が自分にできたか』 を自分に問える人間になりたい、と言ったのは、松子の甥の笙の恋人 明日香です。

原作では明日香は松子の甥 笙と一緒に松子の死後アパートの片付けに行き、その際松子の人生に興味を持ち一緒に松子のことを調べてみよう、と笙に言い出す役なのですが、映画では違っており、毎日をフリーターとしてダラダラ過ごす笙に愛想をつかして出て行ってしまうという役なのですが、その明日香が最後に笙の家の留守電に入れてきたメッセージが上記のようなこと。

この明日香に言わせたセリフが今回の映画のテーマでしょう。
何をしてもらったか。あの人は何をしてくれた、この人は何をしてくれた、ではなく自分は周囲に人々に何をしてあげたか、してあげることができるのか。それを考えるのが人生ではないのか。

笙は松子の人生を調べていくうちに、その事実に気付くのです。
そこから笙が這い出してくるかは、また別のお話。

この映画はわざとパロディにしている部分も多くて、最初はゲッと思ったけどそれも面白いかも。好みが分かれると思いますが私はなかなかいい出来だと思いました。原作ファンも十分楽しめます。

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