愛か、死か。
時は古代、ファラオが支配する強大な王国エジプトは領土拡大を狙い隣国ヌビアに攻め入る。エジプトの若き将軍ラダメスは捕虜となったヌビア王女アイーダをそうとは知らずに婚約者であるエジプト王女アムネリスに侍女として献上する。贅沢に着飾った日々を送るアムネリスは物怖じしないアイーダに驚くが、やがて二人には友情と言える信頼関係が生まれる。そんな日々の中ヌビア人奴隷の間では同じく囚われの身である王女アイーダを指導者とする気運が高まり、アイーダはヌビアの人々の気持ちを受入れ指導者として立つことを決意する。しかしそんな中で敵国の将軍であるラダメスと恋に落ちるアイーダ。敵国同士、それぞれの国を背負って立つ3人の愛を運命が大きく押し流し始める。
劇団四季でアイーダが上演されるようになってから早数年、やっと東京で観られました。ここ5年位ずっと観たいと思い続けて来たアイーダで、絶対に泣けるはずだ!との期待が多少大きすぎましたが、泣きませんでした…

。いえ、つまり落ち着いて観られました。
四季の舞台の魅力はいつも言っている通り、歌唱力の高さとダンスの素晴らしさですね。今回も歌が素晴らしいです、特にアムネリスの五東さんはこの悲劇のストーリーテラー的な存在なので歌の場面も多く、その歌唱力に聞き惚れました。四季では
『母音法』 といって特に母音の発音を徹底して行っているそうですが、そのために歌の部分のセリフも非常にハッキリと聞き取れます。何言ってんのかよく分からないけど歌がいいかなまぁいっか、という妥協を俳優にもお客にも許さない、劇団四季。その執念たるや凄まじいです(笑)。
ディズニーが脚色しエルトン・ジョンが作曲したミュージカル、ということで私の後に鑑賞した友人達も口々に
『あれはエジプトじゃなくてアメリカだろう』 との感想。確かにウエストサイドストーリー的な、エジプト戦士達のダンスシーン。王女アムネリスの豪華な暮らしを表現しているプールのシーンのセットや衣装も非常にアメリカ的で面白かったです。プールのセットなんて舞台に水平にプールがあって、その中をワイヤーで吊られた侍女が水着姿で泳いでました!衝撃的です。
アムネリス、アイーダ、ラダメスの3人の歌で物語が進んでいきますが、この3人の歌唱力は本当に素晴らしいですね。アイーダの濱田さんは愛らしくりりしく素晴らしい歌唱力だし。何と言っても開幕直後はトップスターの舞台を観られるので一番いいですね。女性アンサンブルの方々はある時はヌビア人捕虜、ある時はエジプト王女侍女、と実に出番が多く、超早着替えで踊りまくり唄いまくりで、実に大変そうでした。カーテンコールで7人位しかいないのを見て私も友人達もビックリでした。
後日談
鑑賞した友人達とメールで 『今度はヴェルディのオペラ アイーダも観たいね』 などと言っていた私達。 その後友人からNHK教育テレビで深夜にアイーダの放送がある、とメールをもらいラスト30分位を観てビックリ。オペラ歌手の方々はかなり貫禄ある体型で、樽(!)のようなアイーダやアムネリス、そしてラダメスが! 友人達からのメールのコメント:
『アイーダはどう見てもビッグママ。』 『こういうメンバーで愛だの恋だの唄っちゃうんだから、ヨーロッパ文化恐るべし。』 ナイスなコメントありがとうございます。
かえすがえすも可愛いアイーダとカッコいいラダメスが登場する劇団四季で、良かったと思ってしまいました(笑)。
評価:




(5つ満点)
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