私達の住むこの世界が日々進化しているように、マイクロソフトオフィスも進化しています。なにげない日常の中にある 『進化』 にあなたは気が付いていますか?この別冊 『ダ・ヴィンチ』 では 『進化』 をテーマに、二人の作家が書き下ろした新作小説をお届けいたします。ご寄稿いただいたのは直木賞受賞後、活躍の場が広がりますます人気が高まる角田光代さんと、綿密な構成の本格推理小説が絶大な支持を受けている有栖川有栖さん。角田光代さんには 『恋愛』 、有栖川有栖さんには 『ロボット』 を題材に 『進化』 というテーマで読みきり小説を書き下ろしていただきました。人気作家の贅沢な新作、じっくりお楽しみください。(『別冊ダ・ヴィンチ』 withマイクロソフトオフィス 前書きより)
今月号のダ・ヴィンチのオマケは、マイクロソフト社が宣伝も込めてダ・ヴィンチ読者のために書き下ろし小説を頼んでくれた、という豪華な企画。あんまり期待しないて開いてみて結構良かったので驚きました。こういう企画なら大歓迎ですね。
『手をつないでゆっくりと歩く』 角田光代
携帯を頑なに持たない男と、謝ることを知らない女の恋物語。そんな2人なものだから、すれ違いはしょっちゅうで、どこが波長が合ってこの人といるのだろう、とお互いが思ったりする。恋愛の本質は人それぞれの考え方であり、携帯やらメールやらに頼っている今日の恋愛は本当の恋愛じゃない、と思っていたはずなのに、敬遠していた携帯電話を男が仕事の必要に迫られ購入したところから、考え方が変わってくる、という話。
確かに便利だし、それにそれだけではなかった。面と向かっては言いにくいことも、携帯電話のメールだと素直に言えることもある。なんだか携帯電話会社の宣伝のような小説ではありますが、角田氏の言いたいことは、機械は機械、所詮メールは活字の羅列に過ぎないかもしれないが、その機械を使い活字を打っているのは生身の人間なのだと。しかも、貴方の愛する人なのだと。
そういうことを言いたいのかな、と思いました。
まぁ~携帯は便利なことは確か。友人が 『携帯が普及したおかげで待ち合わせを守らない人がますます増えた』 と以前、遅刻常習犯(但し携帯普及前から)の私に言っておりましたが(笑)。た~し~か~に。反省。
評価:



(貸出可です)
『ジージーとの日々』 有栖川有栖
実はっ有栖川有栖を初めて読みました。ファンの方々すみません。
舞台は近未来。各家庭に子守ロボットが普及している時代。主人公の家にも幼稚園に通う前の息子がおり、その息子の面倒は子守ロボットが看ている。同僚に 『どの子守ロボットがいいか』 と相談を受けたりする主人公。
ロボットに愛情を込めた育児ができるのか?と思いながらも物語は進み、最後は仕掛けあり。なるほど、有栖川氏の仕掛けってこういう感じなのね。とちょっと読み返しをしながら思う。
確かにこのまま技術が進んでいくならば、家庭用ロボットは必ず出現することだろう。ドラえもんレベルまでとは行かなくても、簡単な家事をしたり、子どもを最低限の危険(火事、地震、誤飲、容態急変)から守ることができるロボットは必ず出現すると私も思う。それに頼り切るのではなく、共存すること。そして必ずその存在、好意に 『感謝』 すること。昔から言われている 『物を大切に』 ということがテーマですかね(違うと思う…)。
どちらも興味深く読めました。便利な機械を使いこなすうちにその機械に頼りきっていないか、その機械がなければ何もできない自分になっていないか。それを問い直す2作品かと思います。
ちなみに私は携帯を週に1回は家に忘れるタイプですので、あんまり心配なさそうです(笑)。
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