のび太とドラえもんは北極で拾った巨大なロボットの部品を組立ててザンダクロスと名付け、誰もいない鏡の世界で遊んでいた。そこへロボットの持ち主だと名乗る少女リルルが現れる。リルルとザンダクロスはロボットの星 メカトピアから地球人を奴隷にするために送り込まれたというのだ。恐ろしいロボット兵団を前にドラえもん、のび太と仲間達は地球を救えるのか。
リメイクだそうですが全然覚えてなかったです。泣きました、ドラえもん。感動しました。震災後久しぶりに観た映画ということでも、感無量でした。
リニューアルドラえもんになってからのび太らキャラが現代風というか平成っ子になってますね。のび太、ジャイアン、スネオのそれぞれの個性があまり際立っていないというか、均一になりつつあります。しずかちゃんも以前は神経質なところが目立ちましたが、今はそんなことないです。
ところで本作、なんだかんだ言ってしずかちゃん一人の英断が人類を救った、という結末になってます。世界を救ったのは、しずか。でも偉ぶらないしずかさん、ごく当たり前のような顔をしているところもやっぱり、平成っ子。
評価:(映画が観られるようになり一安心)
文学者らが作った理想郷 『唯腕村』 。村で育った若者が次々と村を捨て出て行く中、ただ一人村に残った後継者である東一は、入村希望者の美少女マヤと出会いこの村を自分の欲望のためだけに使うことを決意する。『週刊文春』 ほか連載を単行本化。
(桐野夏生)1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。『顔に降りかかる雨』 で江戸川乱歩賞、『OUT』 で日本推理作家協会賞、『柔らかな頬』 で直木賞、『グロテスク』 で泉鏡花文学賞、『残虐記』 で柴田錬三郎賞、『魂萌え!』 で婦人公論文芸賞、『東京島』 で谷崎潤一郎賞、『女神記』 で紫式部文学賞、『ナニカアル』 で島清恋愛文学賞を受賞。 また 『OUT』 で日本人初のエドガー賞候補となる。
待ちに待った(いつも)桐野夏生新作長編。毎日.jpのインタビュー記事によれば、
タイトルの 『ポリティコン』 はアリストテレスの言葉 『ゾーン・ポリティコン(政治的動物)』 から来ている。『政治的動物とは何か。平たく言うと「人間はどうやって共同で生活するの?」ということだと思いました。耳慣れないけどタイトルとして響きもいい。早い段階で決まっていました』 と桐野さん。
とります。政治的動物、つまり生きるために政治的活動が必要、ということ。政治とは、人心掌握?支配?
今回も桐野作品バリバリの、自分の欲望に実に忠実な登場人物ばかり出てきます。理想郷の精神を掲げながら限界集落となりつつある唯腕村の実態、後継者という理由だけでそこに執着し続ける東一、そこへ迷い込む北田、マヤ、スオンら帰る家のない人々。唯腕村の村民らは東一始め本当に自分の私利私欲のためだけに行動していて、呆れるを通り越してもう潔い(笑)。でもそんな人達のことを、『愛おしい』 という桐野氏。
桐野作品はこの、愚かだが愛おしい人間達、がテーマだと思う。自分の欲を満たすことしか考えていない東一、その東一を利用しようとするマヤ、東一に反発しながらも彼にすがって生きて行くしかない唯腕村の老人たち。決して同情できる人も爽やかな人も一人もいないのに、なぜか惹き付けられてしまうのは、やはり全編に流れる桐野氏の 『人間に対する愛』 なんだろうな、と思う。
人間は愚かだから、愛おしいと言う桐野氏。その桐野氏の生き方こそが、ハードボイルドではないでしょうか。いつでも新作が楽しみな作家の一人です。
評価:(5つ満点)
ここはどこだろう。なぜここにいるのだろう。見えない力に強いられ、記憶を奪われた女性の数奇な運命。命をつなぐ 『甘い水』 の正体とは。『真夜中』 連載を単行本化。
(東直子)1963年広島県生まれ。歌人、小説家。『草かんむりの訪問者』 で歌壇賞受賞。主な著書に 『青卵』 『とりつくしま』 『私のミトンさん』 、絵本に 『あめぽぽぽ』 『ほわほわさくら』 など。
久々に、読了してもぜーんぜん意味が分からない小説だった(爆)。謎、だらけの物語です。誰か解説して欲しいけど。
でも最近はこういう設定も筋もぜーんぜん分からない本を読んでも、ああこういう世界なのでこれはこれでいいのだ。と思えるようになりました。つまり、理解できないことを理解できないと受け止める。ということが少しできるようになった。うーん進歩だ(笑)。
たくさんの登場人物が出てきて、それぞれが親子関係であったり昔は呼び名が違ったり、と複雑な上に時間軸の配置がバラバラで必ずしも本の流れと時間の流れが一致していないのですが、生きるために 『甘い水』 なるものが必要な人々がいて、それなしでは生きていけない。しかし、それだけではただ生きているだけ、ということに気付いたとき、人はどんな行動に出るのか。
まっこと不思議な物語です、YA向けとあったので読んでみたのですがこれが一発でスッキリわかるYAさんがいたら、ぜひご教授願いたい。もしやYAだとスッキリハッキリ分かるのかっ?
評価:(初めて読んだタイプの小説)