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読書と映画と観劇と

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新年度

oyatu.png新年度始動
震災から6週間経とうとしています。何度も震災の後のことを書こうと思ったのですが、やめておきます。まだまだ整理がつきそうにありません。うちにいて出勤の必要もなく(専業主婦)、子ども達のそばにいられることに感謝をしながらも、こんなに社会に役に立たなくていいのかと思っていた時、インターネットでこんな一文に出会いました。

本当の復興とは、それぞれが以前から活動していたことに戻ること、ではないでしょうか。

この一言でとても救われました。震災後、考え方を生き方を変えなくてはダメだ、という強いメッセージが多い中、それはもちろんその通りなのですが何も変えられない自分に焦りを感じていた頃、元々の居場所に戻ればよい、というこのメッセージには本当に助けられました。今、私のやってきた活動、これからもやっていく活動が本当に必要なのかどうかは、まずそこへ戻って活動を続けながら考えたいと思っています。

スケジュール復活
ということでスケジュール復活。震災直後の手帳の赤線(キャンセルの意)の山にただ呆然…としていましたが、新年度も始まり小学校や図書館へのおはなし会ボランティア活動も始動しました。昨年度から第2王子の小学校の図書ボランティアも本格化しており、毎週金曜日朝の読み聞かせや月1回の図書室清掃などで大活躍をしております(笑)。今週には朝の読み聞かせ活動の様子を保護者の皆さんへお伝えする 『保護者向けおはなし会』 を開催。なんと、私達アグレッシブなボランティアなんだ!と自画自賛(笑)。

この朝に弱い私が、金曜日は毎週ではないとは言え当番で朝8:00~8:20に学校へ読み聞かせに行っているとは。更に、第1王子のお弁当も今のところ毎日作ってるとは!
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アンジャーネ*吉永南央

anjane.jpg祖母の死をきっかけにアパートの大家になった瑞樹。そこは外国人向けのアパートで日々トラブル続き。様々な国の人々との交流から青年の成長を描く連作短編集。 『ミステリーズ!』 掲載に書き下ろしを加え単行本化。
(吉永南央)1964年埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部卒業。 『紅雲町のお草』 でオール讀物推理小説新人賞を受賞。主な著書に 『オリーブ』 『誘う森』 『Fの記憶』  。
(収録作品)1/4/ジロ/海亀/バルザフ/テリンノム/住人祭/エキストラ

吉永南央がいい本続きなので、ものすごく期待が大きすぎて、今回はちょっとイマイチでした。設定の奇抜さと主人公の心中がしっくり合わないというか。ミステリ仕立のところもそこまでミステリ風に無理して盛り上げなくても…という雰囲気で。

モラトリアムな主人公 瑞樹も結局そういう生き方でいいのか?と余計なお世話ながら思ってしまったり。瑞樹の父親が未だモラトリアムだからいけないんだろうなーと思いつつも、最後まで落としどころが見つけられず不満の残る読了感。

評価:(5つ満点)

ドラえもん新のび太と鉄人兵団

dora2011.pngのび太とドラえもんは北極で拾った巨大なロボットの部品を組立ててザンダクロスと名付け、誰もいない鏡の世界で遊んでいた。そこへロボットの持ち主だと名乗る少女リルルが現れる。リルルとザンダクロスはロボットの星 メカトピアから地球人を奴隷にするために送り込まれたというのだ。恐ろしいロボット兵団を前にドラえもん、のび太と仲間達は地球を救えるのか。

リメイクだそうですが全然覚えてなかったです。泣きました、ドラえもん。感動しました。震災後久しぶりに観た映画ということでも、感無量でした。

リニューアルドラえもんになってからのび太らキャラが現代風というか平成っ子になってますね。のび太、ジャイアン、スネオのそれぞれの個性があまり際立っていないというか、均一になりつつあります。しずかちゃんも以前は神経質なところが目立ちましたが、今はそんなことないです。

ところで本作、なんだかんだ言ってしずかちゃん一人の英断が人類を救った、という結末になってます。世界を救ったのは、しずか。でも偉ぶらないしずかさん、ごく当たり前のような顔をしているところもやっぱり、平成っ子。

評価:(映画が観られるようになり一安心)

ポリティコン*桐野夏生

politicon.jpg文学者らが作った理想郷 『唯腕村』 。村で育った若者が次々と村を捨て出て行く中、ただ一人村に残った後継者である東一は、入村希望者の美少女マヤと出会いこの村を自分の欲望のためだけに使うことを決意する。『週刊文春』 ほか連載を単行本化。 
(桐野夏生)1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。『顔に降りかかる雨』 で江戸川乱歩賞、『OUT』 で日本推理作家協会賞、『柔らかな頬』 で直木賞、『グロテスク』 で泉鏡花文学賞、『残虐記』 で柴田錬三郎賞、『魂萌え!』 で婦人公論文芸賞、『東京島』 で谷崎潤一郎賞、『女神記』 で紫式部文学賞、『ナニカアル』 で島清恋愛文学賞を受賞。 また 『OUT』 で日本人初のエドガー賞候補となる。

待ちに待った(いつも)桐野夏生新作長編。毎日.jpのインタビュー記事によれば、
タイトルの 『ポリティコン』 はアリストテレスの言葉 『ゾーン・ポリティコン(政治的動物)』 から来ている。『政治的動物とは何か。平たく言うと「人間はどうやって共同で生活するの?」ということだと思いました。耳慣れないけどタイトルとして響きもいい。早い段階で決まっていました』 と桐野さん。
とります。政治的動物、つまり生きるために政治的活動が必要、ということ。政治とは、人心掌握?支配?

今回も桐野作品バリバリの、自分の欲望に実に忠実な登場人物ばかり出てきます。理想郷の精神を掲げながら限界集落となりつつある唯腕村の実態、後継者という理由だけでそこに執着し続ける東一、そこへ迷い込む北田、マヤ、スオンら帰る家のない人々。唯腕村の村民らは東一始め本当に自分の私利私欲のためだけに行動していて、呆れるを通り越してもう潔い(笑)。でもそんな人達のことを、『愛おしい』 という桐野氏。

桐野作品はこの、愚かだが愛おしい人間達、がテーマだと思う。自分の欲を満たすことしか考えていない東一、その東一を利用しようとするマヤ、東一に反発しながらも彼にすがって生きて行くしかない唯腕村の老人たち。決して同情できる人も爽やかな人も一人もいないのに、なぜか惹き付けられてしまうのは、やはり全編に流れる桐野氏の 『人間に対する愛』 なんだろうな、と思う。

人間は愚かだから、愛おしいと言う桐野氏。その桐野氏の生き方こそが、ハードボイルドではないでしょうか。いつでも新作が楽しみな作家の一人です。

評価:(5つ満点)

甘い水*東直子

amaimizu.jpgここはどこだろう。なぜここにいるのだろう。見えない力に強いられ、記憶を奪われた女性の数奇な運命。命をつなぐ 『甘い水』 の正体とは。『真夜中』 連載を単行本化。
(東直子)1963年広島県生まれ。歌人、小説家。『草かんむりの訪問者』 で歌壇賞受賞。主な著書に 『青卵』 『とりつくしま』 『私のミトンさん』 、絵本に 『あめぽぽぽ』 『ほわほわさくら』 など。

久々に、読了してもぜーんぜん意味が分からない小説だった(爆)。謎、だらけの物語です。誰か解説して欲しいけど。

でも最近はこういう設定も筋もぜーんぜん分からない本を読んでも、ああこういう世界なのでこれはこれでいいのだ。と思えるようになりました。つまり、理解できないことを理解できないと受け止める。ということが少しできるようになった。うーん進歩だ(笑)。

たくさんの登場人物が出てきて、それぞれが親子関係であったり昔は呼び名が違ったり、と複雑な上に時間軸の配置がバラバラで必ずしも本の流れと時間の流れが一致していないのですが、生きるために 『甘い水』 なるものが必要な人々がいて、それなしでは生きていけない。しかし、それだけではただ生きているだけ、ということに気付いたとき、人はどんな行動に出るのか。

まっこと不思議な物語です、YA向けとあったので読んでみたのですがこれが一発でスッキリわかるYAさんがいたら、ぜひご教授願いたい。もしやYAだとスッキリハッキリ分かるのかっ?

評価:(初めて読んだタイプの小説)

小さいおうち*中島京子

tiisai.jpg赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々。ノートに隠されたひそやかな恋愛事件。60年以上の時を超えて語られなかった想いがよみがえる。『別册文藝春秋』 連載を単行本化。  直木賞受賞。
(中島京子)1964年東京都生まれ。東京女子大学文理学部卒業。出版社勤務、フリーライターを経てデビュー。本作で直木賞を受賞。主な著書に 『平成大家族』 『冠・婚・葬・祭』 『花桃実桃』 など。

オススメされて読みましたが、私は普通に昭和初期の小説として読みました。みんなが言うほど 『小さなおうち』 の仕掛けが大仕掛けとも思えなかったけど、なるほどなと思いました。

小さなおうち、このおうちという小さな小宇宙の中だけで暮らしていた、暮らすことができた時代があった、というのが感慨深いですね。幸せはいつも、うちの中に、中だけにあった。それが本当の幸せなのかも。恵まれた家族とその家族に愛された恵まれた家政婦さんの話、としてしまえばそれまでですが、そういうノスタルジーがあってもいいかなとこの頃は思います。

よく分からない感想ですが、評価は4ですからよかったですよ。

評価:(5つ満点)

こちらあみ子*今村夏子

amiko.jpg近所に住む小学生のすみれの花を摘んで土産に持たせてあげようとするあみ子。15歳で引越しをするまで彼女には父と母、そして不良の兄という家族がいたが、それはもう昔の話。純粋で奔放な少女時代を過ごしてきたあみ子の目には何が映り、何が映ってなかったのか。太宰治賞、三島由紀夫賞受賞。
(今村夏子)1980年広島県生まれ。『あたらしい娘』(『こちらあみ子』 に改題)で太宰治賞、三島由紀夫賞を受賞。
(収録作品)こちらあみ子/ピクニック

頭を殴られた感じ、今年の芥川賞はもらった!と思っていたのに、候補作にもならなかった(2011年7月)。なんてこったい、審査員は何を読んでいるのか?

家族と離れて暮らすあみ子のシーンから始まる構成も見事、なぜあみ子は家族と別れて暮らすようになったのか?物語はあみ子が父母と兄と暮らしていた小学生の頃に戻る。優しかった兄が 『不良』 になる。母がある日突然 『やる気がなくなって』 何もできなくなる。その家族の崩壊の様を、あみ子の視点からずれることなく、見事に描く。

あみ子は、家族にとって、学校という社会にとって、お荷物な存在だったのかもしれない。それでもあみ子は今日も生きる、明日も生きる。すみれの花を摘みながら。これぞ、純文学。

評価:(装丁も美しい)

地のはてから*乃南アサ

tinohate.jpg物心ついた時、少女はここで暮らしていた。アイヌ語で 『地のはて』 を意味するというこの土地で。厳しい冬を生き抜き少女は成長する。小樽での奉公を終え知床に帰った少女はかつて家族を救ってくれたアイヌの青年に恋をするが、それは一度きりのかなわぬ恋だった。北海道知床で生きた女性の生涯を丹念に描いた書き下ろし長編。  
(乃南アサ)1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『涙』 『鍵』 『しゃぼん玉』 など。

311震災がありました。その後丸2日間停電となりました。3月はまだ寒いです。その停電の中、本作を読みふけりました。何もよりによってこんな寒い時に極寒の北海道の開拓の話を読まなくても…と自分でも思いつつ、読了しました。

乃南アサ、変わらず骨太です。渾身作です。こういう物語を読むと、自分の日々の悩みが本当に贅沢な環境における贅沢な悩みなのだと、つくづく感じてしまいます。大正から昭和の時代、戦争へと突き進む時代は本当に辛い時代でした。北海道開拓の人々にとってもその地で昔から暮らすアイヌの人々にとっても。

読み終わり、知床の地を思うと、何とも言えない切なさがつのります。

評価:(本を愛する全ての方に)
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プロフィール
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DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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