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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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乙女の密告*赤染晶子

otome.jpg京都の外語大学でアンネの日記を教材にドイツ語を学ぶ乙女たち。日本式の努力と根性を愛するバッハマン教授の下、血を吐くような思いをしながらスピーチコンテストに向け励んでいる。ある日敬愛するバッハマン教授に黒い噂が流れ始める。第143回芥川賞受賞作。新潮掲載を単行本化。
(赤染晶子)1974年京都府生まれ。北海道大学大学院博士課程中退。『初子さん』 で文學界新人賞を受賞しデビュー。本作で芥川賞を受賞。

文学とは狂気、なのかもしれない。人形を可愛がるバッハマン教授の狂気、なぜかその教授に惚れている先輩の狂気、 『アンネの日記』 ドイツ語版をひたすら暗誦する私の狂気。誰も彼もクレイジーでそして一生懸命。ちょっと(だいぶ)世間からズレている外語大の乙女達の様子がまた、痛がゆい感じ。いつの時代も必死さっていいなぁと思わせてくれます。

久々に芥川賞らしい一冊。著者 赤染氏のテレビなど報道での立ち居振る舞いも、いかにも純文学作家でござい。という雰囲気が非常に気に入りました。

評価:(5つ満点)
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キャタピラー

caterpillar.jpg1943年、久蔵は戦争で四肢を失い顔面が焼けただれた無残な姿で帰国した。人々から奇異の目で見られながらも、多くの勲章を手にし 『生ける軍神』 として崇められる久蔵に 『軍神の妻』 として尽くすシゲ子。やがて終戦の色が濃くなり始めた時、久蔵とシゲ子それぞれの行方は。ベルリン国際映画祭最優秀女優賞受賞(寺島しのぶ)。若松孝二監督作品。

キャタピラー:芋虫。生々しい映画でした。若松監督の作品はいずれもインパクト強大すぎます。 『実録 連合赤軍』 を観たときも思いましたが、人は平和な環境ではまともに判断できるはずのことが、そうではない環境に置かれるといとも簡単に狂ってしまうのだという事実。真正面から捉えた作品です。

観終わった直後、シゲ子が狂気に走らなかったことがやや不満に感じたのですが、しばらく経ってみるとむしろあの極限にあって正気を保ってたシゲ子こそが、恐ろしいのかもしれません。

戦争のバカバカしさの象徴として何度も婦人達の竹ヤリ訓練とバケツリレー訓練のシーンが出てきます。えんつこに入れられた軍神 久蔵、その滑稽さと哀しさがつのってきます。

戦争が終わり、それまでの正気が狂気に、そして狂気が正気に戻った描写が見事です。バケツリレーも竹ヤリ訓練も、そして軍神様もみんな狂気だったのだ。赤い着物の男が戦時中はキチガイのフリをしていたのだという描写には、レビューを観るまで気付きませんでした…。

評価:(R15ですね)

特攻野郎Aチーム

ateam.jpg軍隊屈指のメンバーを集めた特殊部隊、Aチームのメンバーが何者かの謀略により無実の罪で逮捕されら。しかし彼らは刑務所からの脱出に成功!部下たちと合流したリーダー、ハンニバルの無茶苦茶な作戦の下、自分たちの名誉を汚した黒幕に迫る。80年代に大ヒットしたアメリカ人気TVシリーズのリバイバル。

Aチームのテーマ曲を覚えていますか。あの懐かしいテーマ曲が流れると、今でも思い出しますAチーム。高校生の頃見てましたね家族で。仲の良い友人宅でも見ていたそうで、数年前にうちに遊びに来てくれたときになぜか二人とも突然Aチームのことを思い出し、盛り上がりました。

そのAチームが帰って来た!そりゃあ観に行くでしょうー!劇場は私の他はオジサンばかりでしたけど(笑)。往年のファン、集結です。それでもコングはやっぱりミスターTじゃないとダメでしょう…なんて思っていましたが、考えてみたら20年以上前のキャストでできるわけがという事実にちょっとビックリ。でもあの懐かしいテーマ曲が聞こえてきたら、Aチームが見事復活、バンザイ!

ということでストーリーうんぬんよりもAチームが再びスクリーンで観られた喜びの方がずっと勝ってしまい、ストーリー展開としてはごく普通なのですが大満足なのでした。映画の後やっぱり往年のドラマシリーズも見たくなってきた…DVD借りに行かなくちゃっ。

評価:(復活バンザイ!)

春狂い*宮木あや子

harukurui.jpg生まれながらにして人を狂わすほどの美しさを内包していたひとりの少女。男たちの欲望に曝され身体をけがされた美少女が桜咲く園で望んだ未来とは?官能ミステリー。パピルス連載に加筆、修正したものを単行本化。
(宮木あや子)1976年神奈川県生まれ。 『花宵道中』 で  『女による女のためのR-18文学賞』 大賞と読者賞を同時受賞しデビュー。 主な著書に 『白蝶花』 『セレモニー黒真珠』 『群青』 など。

宮木氏バイオレンス作品に挑戦。正直なところ、宮木さんにはバイオレンスは合わないのでは。怖さも恐ろしさもさほど感じられず、中途半端な印象です。多分著者が優しすぎるのでしょう。もっともっと人と人とのつながりの部分で怖さを感じさせる内容のものが、良いのではないでしょうか。

評価:(5つ満点)

ブラックチェンバー*大沢在昌

blackchamber.jpg犯罪組織のブラックマネーを狙うブラックチェンバーという組織にスカウトされた警視庁の河合は、違法取引を追うべく台北、バンコク、東京を飛び回る。国家を揺るがす恐るべき犯罪計画が姿を現すが。フジサンケイビジネスアイ連載を単行本化。
(大沢在昌)1956年名古屋市生まれ。慶応義塾大学法学部中退。『感傷の街角』 で小説推理新人賞を受賞しデビュー。『深夜曲馬団』 で日本冒険小説協会最優秀短編賞、 『新宿鮫』 で日本推理作家協会賞長篇賞、吉川英治文学新人賞、「新宿鮫 無間人形」で第110回直木賞、 『心では重すぎる』 で日本冒険小説協会大賞、『パンドラ・アイランド』 で柴田錬三郎賞を受賞。

正義とは何か。に挑んだエンターテイメント。正義を実行するにもお金がかかり、そのお金は犯罪組織からちょうだいする、というコンセプトの組織、ブラックチェンバー。なるほどと一瞬思わせるんですけど…。

今回ももちろん味方と思っていたアノ人が?という展開を期待して、後半辺りからコノ人がアノ人が裏切り者か?と考えながら楽しく読めました。今回は元北の工作員だったチヒのハードボイルドぶりが徹底していていいですね。女性のハードボイルド、やっぱりいいです。大沢氏のシリーズ、魔女の盟約の続きを早く読みたいなぁ。

評価:(5つ満点)

天国旅行*三浦しをん

tengoku.jpg富士の樹海に現れた男の導き、死んだ彼女と暮らす若者の迷い、命懸けで結ばれた相手への遺言、一家心中で生き残った男の記憶。心中をテーマにした短編集。小説新潮掲載を単行本化。
(三浦しをん)1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『まほろ駅前多田便利軒』 で直木賞受賞。主な著書に 『秘密の花園』 『光』 『三四郎はそれから門を出た』 など。
(収録作品)森の奥/遺言/初盆の客/君は夜/炎/星くずドライブ/SINK
 
テーマは心中。脱力系短編集かと思いきや、以外と骨太でした。しをんちゃんは本当に巧いです。

『光』 を思い出させる、男と女のドロドロした情愛を綴った 『君は夜』 がベストですね。一人称で綴った 『遺言』 、霊が出てくる 『初盆の客』 『星くずドライブ』 、2人の少女の複雑な感情を描いた 『炎』 と、バラエティに富んだ短編集で大変お買い(お読み)得です。

毒がありながらありすぎない、人への愛情が感じられるしをんちゃんの作品、次回作も楽しみです。

評価:(5つ満点)

読書ボランティア活動ガイド*広瀬恒子

dokushov.jpg小学校での読みきかせや図書館の運営支援など、子どもと本を結ぶ多様な読書ボランティア。そのスキルアップのポイントと今考えたいボランティア活動のあり方を問う。
(広瀬恒子)1932年東京都生まれ。親子読書地域文庫全国連絡会代表。喜多見なかよし文庫、世田谷の図書館を考える会、日本子どもの本研究会等世話人。著書に 『だから、子どもの本は面白い』 『読みきかせ絵本260高学年向』 など。

読了直後とても良い本だったの買いたいと思ったのですが、いかんせん誤字脱字が多すぎました…5箇所以上ありました。と別の意味で妙に気になってしまった一冊です。誤字脱字、結構許せません。出版社はプロとして、プロの仕事をしていただきたい。

以前サークル内でこの本が紹介された際はあまりきにならなかったのですが、自分が学校ボランティアという立場になり改めて手に取りました。この本の最大のポイントは

図書ボランティアが中年おばさんのストレス解消の場になっていないか

という一言です。心にずしんと来ます。ボランティア(奉仕)が自分のためのエゴになっていないか?活動に慣れてくれば慣れてくるほど、自問自答し続けなければならないことですね。

グループの作り方、仕事の分担やより良いものを子ども達に届けるためにどのような心構え、勉強が必要か。改めて第三者の言葉を聞くととても心強いです。ボランティアは決して驕らず(慣れに甘んじない)、決してそのポリシー(なぜボランティアをするのか?)を忘れてはならない。最も大切なことでありますが長く続ければ続けるほど、忘れがちなことですね。

ボランティアとボランティアを受ける側(ここでは学校)は常にWIN-WINでなければなりません。多くの学校現場でボランティアが盛んになっているからこそ、このような本が求められ出版されることとなったのですね。全国で頑張っている沢山の読書ボランティアがいることを信じて、私も進んでいきたいと思います。

評価:(誤字脱字を直してくれたら買いたいです)

オー!ファーザー*伊坂幸太郎

ohfather.jpg我が家は6人家族で大変なんだ。父親が4人もいるんだよ。しかもみんなどこか変わっていて。ごく普通の高校生だが由紀夫には4人の父親がいる。個性の強い父親達と共に暮らす由紀夫がある日おかしな事件に巻き込まれていく。河北新報ほか新聞連載に加筆修正。
(伊坂幸太郎)1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。『オーデュボンの祈り』 で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。『アヒルと鴨のコインロッカー』 で吉川英治文学新人賞、『死神の精度』 で日本推理作家協会賞短編部門、『ゴールデンスランバー』 で本屋大賞、山本周五郎賞を受賞。主な著書に 『ラッシュライフ』 『チルドレン』 『魔王』 など。

装丁のこのお人形は、小川洋子 『猫を抱いて 象と泳ぐ』 と同じ装丁家でしょうか。同じでしょうね。

さてまたも映像化を激しく意識している?と思わせてしまう伊坂作品ですが、今回は由紀夫というキャラクターが確立しており、4人の父親の役割分担もハッキリしていたのでとても読みやすかったです。母親はずっと不在なのですがもしかして死んでるとか…と思っていたのですが、ラストになり長期出張から帰ってきます。死んでなかったのか。ライトノベル的な事件の展開ではありますがそこがまた小気味よく、テンポよく、さすが新聞小説。キャラが立ってるというのは本当に大切なのですね。

4人の父親のうち誰が一番好きか?と聞かれたら、うーん誰かな?どれも一押し足りないな…と思わせる描き方がやっぱり、巧いのかも。父親達はやっぱり4人揃って父、なんですね由紀夫の家の場合。

評価:(5つ満点)
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
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