小学生の女の子の目を通して市場の仲買人の取引の様子を紹介する。綿密な取材を元に分かりやすく解説、田中清代の挿画も分かりやすい。月刊かがくのとも478号。
(安江リエ)1949年兵庫県生まれ。大学卒業後子育てをしながら共同保育所の運営に15年ほど関わる。主な絵本に 『おやすみなおちゃん』 『はがぬけたよ』 『みどりのホース』 『ねえどっちがすき?』 など。
(田中清代)1972年神奈川県生まれ。多摩美術大学油画、版画専攻卒業。ボローニャ国際絵本原画展ユニセフ賞を受賞。主な絵本に 『トマトさん』 『おきにいり』 など。
『トマトさん』 の田中清代が好きです。更に私の暮らすH市は漁獲水揚げが全国でも有数の水産都市であり、もちろん魚市場もあるのですがその実情をほとんど知りません。ということで第2王子にというより私自身にもとても勉強になりました。
改めて読んでみると大変分かりやすいので、図書館のおはなし会でも使ってみたところ、とても好評でした。子どももやはり知識絵本が好きなんですね、改めて感じた一冊です。
おはなし会では他のおはなしの絵本と異なり、聞き手である子ども達と一緒に会話をしながら進んで行きました。
『H市にも魚市場があります、その魚市場のおはなしです』 から始まり、朝4時に魚市場へ行くシーンでは 『暗ーい!』 、たくさんの魚がいけすに並んでいるシーンでは 『あっあわびだ、オレあわび大好き』 『へーあわび食べるの?』 と会話が弾みます。
おはなしを一心に聞いてくれる子ども達の様子もとても嬉しいですが、このように一緒に考えながら会話しながら進むことができる知識絵本の魅力について、新たに発見した気分です。ぜひこの本はハードカバー化を進めていただきたいですね。
評価:(5つ満点)
2008年のベストリーダー
今年もダ・ヴィンチのBook of the Year発表の時期がやって参りました。毎年楽しみにしているこの企画、今年出会った強烈なあの一冊を1位にせねば!と毎年10月頃の読者投票に今年はついに参戦!結果を首を長くして待っておりました。
ということで今年は4598人
のダ・ヴィンチ読者が選んだ 『今年の話題の本』 見てみましょう。
(※本集計は2007年10月から2008年9月末の間に発行された書籍が対象)
1位 ハリーポッターと死の秘宝(J.K.ローリング)
2位 ゴールデンスランバー(伊坂幸太郎)
3位 流星の絆(東野圭吾)
4位 聖☆おにいさん(中村光)
5位 のぼうの城(和田竜)
6位 阪急電車(有川浩)
7位 私の男(桜庭一樹)
8位 食堂かたつむり(小川糸)
9位 おそろし(宮部みゆき)
10位 新世界より(貴志祐介)
11位 図書館革命(有川浩)
12位 よつばと!(あずまきよひこ)
13位 のだめカンタービレ(二ノ宮知子)
14位 いっちばん(畠中恵)
15位 東京島(桐野夏生) (16~30位割愛)
アンケート時期が10月のため、対象図書が上記の通り 『昨年10月から今年9月に発行された書籍』 となるところに毎度ご注意ください。
なんと!私が今年2008年最高傑作!と感動した貴志祐介 『新世界より』 が10位とは!正直本当に今回はこれが1位に違いない!と自分の中では異常に盛り上がっていたので、10位とはかなりビックリ&残念です。しかしTOP10に入っていただけでもヨシなのか…それにしてもこの 『新世界より』 は老若男女必読書であるのでこれを読んでいない人が私の考えよりもずっと多いとは(1位じゃないから)、とっても残念です。みんな今すぐ読むんだ!
ハリーポッターが1位とは…これは単純にこの本を読んだ人がそれだけ多い、ということでしょうね。私もシリーズ全巻読破しましたが後半はガタガタな印象で…。伊坂光太郎、東野圭吾は相変わらず強いですね。2冊も入った有川浩さん、去年から今年と売上バリバリの良い年だったことでしょう。私は図書館戦争シリーズしか読んでいないので何とも言えませんが、あのノリでどの本も書かれちゃーちょっと読むにはツライものがあります。
最近ますますマンガのランクインが多いですね…しかしながら 『よつばと!』 は私もハマってしまったので。今年は若手作家があんまり上に来てないですね、小川糸さんだけ。これも悪くはないけどこんなに上に来るほどだったっけかな?
今年もイヴが近づき恒例のサンタクロースの会議が開かる。引退したサンタに代わり新しくメンバーに加わる女性サンタを認めるかどうかで会は大騒ぎになる。性別、容姿についてサンタクロースという存在を通じて問うファンタジー。東野圭吾 『片想い』 に登場する戯曲 『サンタのおばさん』 を絵本として創作。
(東野圭吾)1958年大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業。『放課後』 で江戸川乱歩賞、『秘密』 で日本推理作家協会賞、『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞。主な著書に 『幻夜』 『白夜行』 『片思い』 『トキオ』 『ゲームの名は誘拐』 など。
(杉田比呂美)1959年東京都生まれ。阿佐ヶ谷美術専門学校卒業。 グラフィックデザイナーを経てフリーのイラストレーター、絵本作家、本の装幀なども手がける。主な著書に 『五感のピクニック』 『風たんてい日記』 『ぼく、わん。』 など。
杉田比呂美の挿絵が可愛い一冊。惜しむらくはサンタが欧米とアフリカ、ヨーロッパ地域しかいないこと…日本以外のアジア、ロシア、南米はどうするのだ?個人的にはロシアサンタ、トルコサンタ、中国サンタ、ブラジルサンタなどが欲しいですね。
大人の方への贈り物に。
評価:(5つ満点)