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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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わが母の記

wagahaha.jpg昭和39年、小説家の伊上洪作は父が亡くなり母 八重の面倒を見ることになる。幼少期に母と離れて暮らしていたため距離を置いていた洪作だったが、妻や3人の娘、妹たちに支えられ自身の幼いころの記憶と八重の思いに向き合うことに。八重は薄れゆく記憶の中で息子への愛を確かめ、洪作はそんな母を理解し次第に受け入れられるようになっていく。井上靖の自伝的小説を映画化。役所広司、樹木希林、宮崎あおい主演。モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門で審査員特別グランプリ受賞。日本。

映画での役名は、洪作(こうさく)とおぬいばあさん(洪作の養母)です。この名前は井上靖の自伝的小説 『しろばんば』 の設定そのままですね。60~70年代を見事に演出したのも素晴らしいです。樹木希林はもう前評判通り素晴らしいです、詩を朗読するシーンで泣かない人はいまい。と思うほど、その演技に気迫を感じました。役所広司は本当に俳優として円熟しており、これまた素晴らしかったです。頑固で、かつ家族を愛する父親を見事に表現しました。

子どもは親との関係ができていないといくつになってもそのことに悩むものなんですね。自分自身のルーツを自分で確認すること、それが自分の生きる道を確かめることにつながるからなんですね。そのことを強く感じさせてくれた、作品でした。脇を固める俳優陣もみな素晴らしかったです。はー映画って、本当にいいものですね(笑)。

私が観る映画はいつもお客さんガラガラで10名に満たないことも多いのですが、本作はほぼ満席でした。60~70代の方が多かったです。

評価:(5つ満点)
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文明の子*太田光

bunnmei.jpg地球、そして地球とは別の進化を成し遂げた星の過去と未来に秘められた謎。新たな文明へと踏み出すために動き始めた子ども達。果たして人類の行く末は生か死か?絡み合うパラレルワールドが紡ぎ出す壮大な物語を斬新なスタイルで描く。書き下ろし。
(太田光)1965年埼玉県生まれ。日本大学芸術学部中退。お笑いタレント、漫才師、エッセイスト。田中裕二と 『爆笑問題』 結成。著書に 『パラレルな世紀への跳躍』 『マボロシの鳥』 他多数。


小さな短編の組合せで綴られてます。そのうち 『大いなる計画』 がベストですね。今回も実験的な小説で細切れにストーリーを織り交ぜてあり、結構読みにくいです。しかしオリジナルの世界観を持ちそれを表現しようとする太田さんの姿勢が好きなので、今回も良かったです。

この 『大いなる計画』 のようなSF物をもっと書いて欲しいですね。小松左京か星新一か、と思いました。物語は赤ちゃんポストが設置され多くの子どもが預けられるようになって数十年。体外受精の技術も進み、人口減少が大きな問題だったわが国で、突然その問題が解消し始める、という設定。つまり、人口が増えてきたのだ。なぜか…それはこの大いなる計画の結果だったのだ。という物語。すべての社会現象は、その抱える問題に原因がある。ということに鋭く切り込んだ一篇。この部分だけもっと膨らませて書いて欲しいですね。

次回作も楽しみです。

評価:(5つ満点)

シャーロックホームズ シャドウゲーム

sh_sg.pngヨーロッパ各地で連続爆破事件が発生。ホームズは天才数学者で作家のモリアーティ教授こそが黒幕だと推理する。事件に関与していると見たアイリーンが姿を消しワトソンの命も狙うと脅迫されたホームズは、事件解決の鍵となる女性シムを探しにフランスへ向かうが。ロバート・ダウニー・Jr.、ジュード・ロウ主演。 『シャーロック・ホームズ(2009)』 続編。アメリカ。

ジュード・ロウ、カッコイイです。ロバート・ダウニー・Jr.もですけど。ホームズの活躍する19世紀という設定もいいですね。モリアーティ教授の悪人ぶりもスタンダードと言えばそうなんですが、瞬時に状況を把握し様々な映像を脳に記録し活用できるホームズの能力が、とにかくスゴイです。まるで名探偵コナンくんだな…と思ってましたが、逆か。コナンくんが、ホームズみたい、なんだった。

第2王子が観たいと言ってましたが私一人で観ちゃいました。でも第2王子にはちょっと難しい内容で多分分からなかったからいいでしょう。

評価:(5つ満点)

晴天の迷いクジラ*窪美澄

seiten.jpgただ死ぬなよって、それだけ言えばよかったんだ。心療内科の薬が手放せない青年、倒産しそうなデザイン会社の孤独な女社長、親の過干渉に苦しむ引きこもり少女。壊れかけた3人が出会い、転がるようにして行き着いた海辺の村で彼らがようやく見つけたものは。入り江に迷い込んだクジラを見るために連れ立った3人の旅を描く。 『yomyom』 掲載に書き下ろしを加えて単行本化。
(窪美澄)1965年東京都生まれ。カリタス女子中学高等学校卒。フリー編集ライター。『ミクマリ』 で女による女のためのR-18文学賞大賞、同作所収の 『ふがいない僕は空を見た』 で山本周五郎賞受賞。
(収録作品)ソラナックスルボックス/表現型の可塑性/ソーダアイスの夏休み/迷いクジラのいる夕景


秀作。ぜひご一読を。うちで取っている地元紙の記事に、著者 窪美澄氏の記事がありました。震災後、何をしていいのか分からなかった時期に、窪氏も本に救われたとありました。その記事から。

デーリー東北 2012/3/4より
著者に聞く 小さくても強い物語の力 「晴天の迷いクジラ」 窪 美澄さん
「昨年の震災で憂鬱な気分だった時も、今村夏子さんや西加奈子さんの作品を読んで、ああ面白かった、いい日だったと、小さくても強い力をもらった」と振り返る。


ここが、私と同じだ!と思いました。今村夏子、西加奈子。

「いい物語は、ぽーんと遠くに飛ばしてくれて、戻って来ると今の自分が少し変わっている。私もそんな本を書きたいですね」

その通りだ !! ということで早速本書読んでみました。大当たりですまた素晴らしい作家に出会うことができて、まことに幸せです。

ソラナックスルボックス
あまりにも忙しいデザイン事務所で働く由人は給料未払い24時間以上勤務。女社長は鬼のような人、先輩には 『俺たちもみんな行ってるから』 と心療内科にまで行かされる。ついに由人はもらった薬を一気に飲んでしまう。その由人を救ったのがなぜか鬼の女社長。社員のことなど虫けらのように思っていたはずの彼女がなぜ…?

表現型の可塑性
その社長がなんと第2章の主人公 野々花。彼女の壮絶な過去がここで語られる。正直この2章が一番辛いです。あんまりすぎます。野々花はただ、表現すること、絵を描くことが好きだっただけなのに。

ソーダアイスの夏休み
その後第3章では女子高生 正子が主人公。正子は名前の通り母親には常に正しいことをするよう求められている。なぜか、それにも深い事情があった。母親の立場から見ると正子の母の異常なまでの正子への執着は、理解できる部分が多くこれまた辛いのです。

迷いクジラのいる夕景

そして終章でみんなは出会い、小さな海辺の村の入り江にはまってしまったクジラを見に行こうということになる。クジラ…その象徴する意味は。と書くと、いかにも苦労連続の人々の話を集めたようですが、この作品のすごいところは由人も野々花もそして 正子も、すごい環境にありながらもその環境は決して荒唐無稽ではなく、誰しも陥る可能性のある状況だということです。ものすごいリアリティが迫ってきます。3人の環境は誰にでも、つまりこの私にもあり得る状況だという状況です。

3人の置かれた過酷な、そして実にありふれた状況を、ぜひ本書を読んで確認してください。その3人が出会い、なぜクジラを見に行くことにしたのか。クジラを見に行くことに何の意味があるのか。結局【人を救えるのは人しかいない】ということを強く訴え感じさせてくれる、力強い一冊です。必読です。

評価:(満点!)
 

ヘルプ 心がつなぐストーリー

help.png南部の上流階級に生まれた作家志望のスキーターは当たり前のように黒人メイド達に囲まれて育ったが、大人になり白人社会に置かれたメイドたちの立場に疑問を抱き始める。真実を求めメイド達にインタビューを試みるスキーターだったが誰もが口を閉ざすばかり。そんな中1人のメイドがインタビューに応じたことから社会全体を巻き込んだ大きな事態へと進展していく。1960年代の米ミシシッピ州を舞台に白人女性と黒人家政婦たちの友情が旧態依然とした街を変革していく様子を描く。アメリカ。

60年代、白人上流階級の家庭には黒人メイド達がいた。という事実。自由の国アメリカ、と言われ久しいアメリカ合衆国ですが、この映画のような背景があったことを忘れてはその歴史を語れないのですね。女優陣の演技がみな見事です、メイド達、上流階級の家に育ったお嬢さん達、その母親達。私は外国人としてアメリカの歴史の1つという見方で興味深く観られましたが、同年代を生きた人でしかもこの舞台であるアメリカ南部地方で育った人には、とても重いテーマだったことと思います。

重いテーマにも関わらず、明るく演じきった女優陣みんなに、アカデミー女優賞ですね。

 評価:(5つ満点)

獅子頭*楊逸

sizu.jpg幼い頃は雑伎団の訓練校で技を鍛えた二順。夢破れてからは一流の料理人を目指し奮闘、腕が認められて日本へ行くこととなる。大出世を果たしたはずの二順だったが、大連に残してきた妻子と日本でできた恋人との間で揺れ動く日々に。 二順の行く末は。純朴な中国人青年 二順の波瀾万丈の日々を明るく描く。『朝日新聞』 掲載を改稿し単行本化。
(楊逸)ヤン・イー。1964年中国ハルビン市生まれ。お茶の水女子大学卒業。在日中国人向けの新聞社勤務を経て中国語教師。『ワンちゃん』 で文學界新人賞、『時の滲む朝』で芥川賞受賞。主な著書に 『金魚生活』 『すき・やき』 『陽だまり幻想曲』 。


今回も綿密な設定でこれは楊逸氏にしか書けないなと思わせる、見事な設定でした。生まれ育った貧しい農村では雑伎団の学校に入ってスターになるしか華やかな未来はなく、そこで将来を嘱望されていたにもかかわらずケガをしてしまう二順。しかしひょんなことから料理人を目指す道を見つけ、そこでも腕を磨く二順。そして一流の店でシェフとして働き始める…。ここで終われれば二順の人生もっと幸せだったはずなのに。

大連の店にやってきて二順の料理を食べて感動した日本人にヘッドハンティングされる二順。日本へ行く!国の代表として!なんと名誉なこと!と盛り上がる二順と二順の周囲の人々の描写が非常におもしろいです。国の代表として行くのだから恥ずかしくないように、と共産党員にまでさせてもらっちゃう二順、中国の人々の考え方が実に興味深いですね。そんなこんなにして愛しい妻子まで置いて日本に来たというのに…。

実際は日本人の料理人の半分ほどの給料で、狭い寮(アパート)に押し込められひたすら店と寮の行き来をするのみの日々。それでいいのか二順よ…と思っていたらまたまた事件勃発、なぜか日本人の恋人ができてしまう!このくだりもハッキリいって二順は思いっきりだまされているわけですが、そのことすら気付かない、しかもいつまで経っても気付かない二順の純朴さというか愚鈍さというか。もうあきれたを通り越して愛しくなってきます。あんまりな二順の境遇にこの先どうなるのか…と思っていたところに、ついに二順の反乱が!

山あり谷あり過ぎて、飽きさせません。たった一人の純朴な青年の物語ですが、日中の関係や双方の国民性を見事に描いており、日本人としても考えさせられます。中国の人のおおらかさにも、やはり大陸の人だなぁと感動を覚えますね。楊逸氏は一作ごとに作品に深みが出てきて毎回新作が本当に楽しみです。

評価:(5つ満点)

懸賞

kenshou.pngポイントいっぱい
懸賞が好きです。特にシール集めて絶対もらえる、というのが一番好きです。最近集めたのはこの3種類。

ドラえもんのガムは一時期親子3人でハマり、頑張って15点集まりました!これを送って届いたのが 『ドラえもんひみつ道具セット』 。その実態は…ドラえもんの貯金箱とピカピカ光る腕輪(ボタン電池使用)、ガムケース、反射シールなど。正直私はあんなにガム買わせておいてこれかい!と突っ込みましたが第2王子は大喜びでした。まぁ第2王子が嬉しいなら、いいか。ひみつ道具は現在第5弾、続く6弾も果たしてもらえるかどうか?

山崎パンは今年は白いお皿じゃなくてサラダボウルです。お皿が一番使い勝手がいいので本当はお皿がいいんですよね…。このシールを台紙に貼る作業が楽しかったりします。こちらは最寄のスーパーのサービスカウンターで交換できるのでラクチンです。

やはり私は集めてもらうのが好きなんだ、とハッキリ自覚したのは、このサラダボウルを義母が2つ、なぜかスーパーの人からもらってきたのです(…まだ懸賞終わってないのにいいのか?)。そのもらってきたボウルを見た瞬間、『なんだよー集めてもらうのが嬉しいのにそのままもらってきちゃダメじゃん!』 と思ってしまったこと!瞬間的にそう思った自分にビックリしました、そうか私、モノが欲しいんじゃなくてシールを集めて何かもらうのが嬉しいのか!新たな大きな発見でした。

最後は超熟パンのリサとガスパールグッズ。今年はシリコンスチーマー。欲しかったけど結局8点しか集まらず送れませんでした。この8点も無駄にしたらもったいないから誰かにあげなきゃと思っているうちに期限切れ。ということで今後皆さんも何か懸賞のシールを集めていてあと数点足りない!という時は私に声をかけてみてください。もしかして点数が残っているかも!です。

ああ美しい助け合い運動(笑)。またよい懸賞がありましたら教えてくださいね。

隠し事*羽田圭介

kakusigoto.jpg僕らには秘密なんてなかった、彼女のケータイを盗み見るまでは。同棲する彼女のケータイを見てしまったことをきっかけに疑いのループにはまってゆく男。 『文藝』 掲載作品を単行本化。
(羽田圭介)1985年東京都生まれ。明治大学卒。『黒冷水』 で文藝賞受賞。主な著書に 『走ル』 『ミート・ザ・ビート』 など。


新聞の書評を見て借りてきた本書ですが、正直どこがポイントなのかサッパリ?と思ってしまいました。主人公 『僕』 の陰湿とまで思える彼女のケータイ盗み見の手段とか、自分で考えずすぐに会社の同期女子の小橋に1から10まで話して相談して答えを出してもらおうとするところとか、ひと言で言ってもうかなりウザイ。こういうウザイ若者が増えていて、そういう人が読むとそうそう俺もだ!と共感できるということでしょうか…?

この主人公 鈴木の人生にとって、恋人茉莉との生活というか彼女の行動を把握することが人生のすべてであって、仕事やその他の趣味(の話は一切出てこない)は、二の次どころかもはや存在しないかのよう。だからこの鈴木の人物像は全くつかめない。それが現代の若者像ということなのだろうか。

あまりオススメしません(笑)。

評価:(5つ満点)
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今週の私
急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
只今読破中
木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
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かぎ針編み プール
ハマッてます:
車が新しくなりついにiPodがつなげる環境に!すごいぞ技術の進歩!
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