『愛の期限』 ってなんだー!
映画館にまで行こうとしていた本作、テレビ放映で観ました。改めてテレビで良かったと思いました、というのも最初から泣きっぱなしなんです。私の
にハマりすぎ、やめてくれ~フジテレビドラマ的展開はっ!
本作は映画第1作 『海猿』 フジテレビ連続ドラマ 『海猿 EVOLUTION』 の続編として製作されておりますが、真ん中のドラマを見逃した方でも大丈夫なようにドラマでのエピソードはあまり出てきません。ただドラマで直属上司であった時任三郎演じる下川が出てくるので観ておくと納得できます。
ドラマでは仙崎ら潜水士の隊長であった下川、本作では海上保安庁の 『警備救難部警備救難課専門官』 というよく分からないけどエライと思われる役職で登場です。映画の宣伝だけでは下川さんは脇役だと思っていたのですが、かなりの露出度で準主役級です。時任さんファンの友人も大満足なはずですっ。
今回もスゴイ事件勃発。大型フェリーが接触事故後炎上、ついには沈没!まーたそんな船内になぜか残されちゃう仙崎とバディの吉岡、そして 『要救助者』 である2人。ドラマに次ぐドラマでありえなーい、という危機を何度も仙崎と吉岡は必死で切り抜け、要救助者をあとわずかで救出!というところでフェリー沈没!うぎゃーーー!
評価:(でも結構こういう展開もスキ)
一コマ一コマに余白を感じた作品。素晴らしかった。女性の監督らしく細やかなカメラワーク、そして見事な脚本だった。監督・脚本の西川美和氏、今後も外せない要チェックの映画監督となるでしょう。
東京でカメラマンとして華やかな生活を送る弟 猛と、故郷 山梨で家業のガソリンスタンドを継ぎ黙々と働く兄 稔。母を亡くし父と兄の2人暮らしで兄は仕事の他にも家事一切を1人で担っている。
そんな対比から兄弟の関係が描かれてゆくが、自由奔放な弟と質素で穏やかそのものだった兄の関係が、ストーリーが進むにつれて徐々に崩れていく様が凄い。
穏やかな性格だったはずの兄の豹変ぶり、激高して弟につばを吐きかける兄を演じた香川照之、さすがとしか言いようがない。役者として完全に出来上がっている。
甘えん坊で後先を考えない弟、売れっ子カメラマン時代の華やかさとその後の仕事をほされた様子、両方を見事に演じたオダギリジョーも良かった。ほされた様子をくどくど表現せず電話をする様子だけで表現する。こうした余白、観る側に考えさせる間の作り方がとても上手い。日々の暮らし、何気ない一言、そうしたものだけで表現し訴え続けた脚本とカメラワーク、心に沁みました。
誰しも心に闇を抱えて生きていること、そしてその闇に飲み込まれてしまいそうになることを正面から捉えた作品です。ラストは必見、兄 稔の表情が見事。
評価:(必見!)
街外れの廃屋のようなビルに住む変わり者のアルゼンチンババア。母をなくしたみつこは父がアルゼンチンババアと付き合っているという噂を耳にして故郷へ戻る。アルゼンチンビルを尋ねたみつこが出会ったのは、アルゼンチンババアとその愛情に包まれた父の姿だった。悲しみを乗り越えようとする人々と、悲しみを癒そうとする人々とのつながりを描く。挿絵:奈良美智。
(よしもとばなな)1964年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。『キッチン』 で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。『不倫と南米』 ドゥマゴ文学賞を受賞。いつの間にか 『吉本ばなな』 から 『よしもとばなな』 に改名。
小説というより詩か歌のような物語で、あっという間に読み終えてしまいました。最近よしもとばななを読んで得た印象は、登場人物の感情をあまり押し付ける書き方をしないということ。むしろサラッと書きすぎかもしれない。それから 『ま、いっか』 という展開も多い。こういう雰囲気が好きな人がよしもとばななファンなんだろうな、と思いました。
映画公開があったので読んでみたのですが、本を読み終わったら映画公開も終わってしまっていたという…遅いわ 。原作があんまりアッサリしているので映画はどういう出来なのかちょっと心配ですが、そちらはそちらで上手に脚色しているのでしょう。
挿絵はおなじみ奈良美智ですが、奈良美智の描く世界とよしもとばななの書く世界は、やはり似ている感じがします。どちらも我が道を行く、というスタイルですが実は周囲に細やかに気を遣っている、かのような。
やはり小説というより詩のような、物語です。
評価:(5つ満点)