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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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月のさなぎ*石野晶

tukino.jpg森の中の学園に隔離されて育った性別のない子ども達。18歳になり性別が判明すると学園を出なくてはならない。それぞれが女に、男になりたい想いを抱え暮らす子ども達の中で事件が起こる。学園からの逃避行、フラッシュバックする覚えのない記憶。17歳の身体と心はその意思とうらはらに変わりはじめる。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。
(石野晶)1978年岩手県生まれ。岩手県立伊保内高等学校卒業。『パークチルドレン』(筆名:石野文香)で小学館文庫小説賞を受賞、本作で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。

YA向き。世界の構造としてはよくできているものの、人物らの描写にもう一歩かな。月童子ら一人ひとりの抱える果てのない孤独感が、今ひとつ伝わってこないような気がします。でも私の好きな近未来小説、YA向けとしてはとても読みやすく、YAの方に強力オススメですね。登場人物らがみんな優しすぎるところも、繊細な中高生らしさがよく表現されていると思います。

評価:(5つ満点)
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英国王のスピーチ

speech.jpg幼い頃から吃音というコンプレックスを抱えたジョージ6世。王位よりも恋を選んだ兄の後即位した彼は、苦労を重ねながらも妻エリザベスとスピーチ矯正の専門家ライオネルに支えられ、吃音を克服し王の責務であるスピーチに挑む。

悪役の多いヘレナ・ボナム・カーターがいい人役(妻のエリザベス)、というだけでもう新鮮。映画はものすごく王室に好意的に作られており、ジョージ6世も王妃もものすごく気さくないい人、として描かれています。でもそれって本当?(笑)
幼い頃のエリザベス2世が可愛いですね。

王位を継ぎすぐにそれを放り出す兄と、弟ジョージの苦悩が描かれていて、実に人間的、王位継承も一家族の問題なわけ。この王室に対する考え方も姿勢も日本と全然違うなと思い、興味深いです。

評価:(5つ満点)

苦役列車*西村賢太

kueki.jpg友もなく女もなく1杯のコップ酒を心の慰めにその日暮らしの港湾労働で生計を立てている19歳の貫太。或る日彼の生活に変化が訪れるが。芥川賞受賞。『新潮』 掲載をまとめて単行本化。
(西村賢太)1967年東京都生まれ。『暗渠の宿』 で野間文芸新人賞、本作で芥川賞を受賞。著書に 『どうで死ぬ身の一踊り』 。 
(収録作品)苦役列車/落ちぶれて袖に涙のふりかかる

ダブル芥川賞のうちの1作。私小説、ということでかなり悲壮感漂うハードな内容では、と覚悟して臨んだのですが、思っていたよりずっとソフトな内容でした。ちょっと拍子抜け?

主人公 貫太はまさに著者 西村氏の化身で、ひたすらに西村氏は私小説にこだわっているそうです。人とコミュニケーションがとれず、それゆえにずっと孤独である貫太。同情したいようなしたくないような。その微妙な描き方はやっぱり巧いと思います。
次回作もきっと、読みます。

評価:(5つ満点)

白いしるし*西加奈子

siroi.jpg次に恋人を得るなら穏やかな、凪の海みたいな恋愛をしたい。そう思っていた32歳の夏目だったが、画家の間島に心惹かれてゆく。しかし間島には恋人があった。 『あかん人』 になってしまう自分を止められない。『小説新潮』 連載に加筆修正して単行本化。
(西加奈子)1977年テヘラン生まれ大阪育ち。関西大学法学部卒業。『通天閣』 で織田作之助賞受賞。主な著書に 『あおい』  『さくら』  『うつくしい人』  『きりこについて』 など。

芸術家同士の出会いと恋。ちょっと複雑かと思いきや、すごい複雑。芸術を生きるってこんなに辛いのか。夏目のみならず間島、瀬田という2人の男の複雑さ。そんな複雑な男達を愛してしまう、夏目、塚本のこれまた複雑さ。

恋愛って大変。ガツンと裏切られる、でもどこかに救いの光が見える、そんな小説です。

評価:(最近の純文学はアタリが多い)

砂の王国*荻原浩

sunano.jpg大手証券会社勤務からホームレスに転落した男。段ボールハウスの設置場所を求めて辿りついた公園で出会ったのは、怪しい辻占い師と若い美形のホームレス。世間の端に追いやられた3人が手を組み、究極の逆襲が始まった。3人が立ち上げた新興宗教は設計図どおりに順調に発展する。ホームレス生活からの劇的な生還、だが不協和音が響き始め…。
(荻原浩)1956年埼玉県生まれ。成城大学卒業。『オロロ畑でつかまえて』 小説すばる新人賞、『明日の記憶』 で山本周五郎賞を受賞。主な著書に 『押入れのちよ』 『愛しの座敷わらし』 など。

自分が作ったはずの宗教に、周囲が皆夢中になっていく。真実ではないものが真実になってしまった時。某宗教団体を彷彿とさせる内容は、怖いです。

木島が宗教団体 『大地の会』 の仕組みを考え、仲村を教祖に仕立て、文才のある龍斉に教義と出版本を執筆させ…と大地の会が徐々に 『成功』 していくさまは本当に見事で面白い。しかし自分が創設した大地の会にやがて追われることになる木島の転落ぶりもまた、衝撃的である。彼自身が自覚し切れていない幼い頃からのトラウマを、元妻の視点を借りて読者に伝えるところも巧いです。

今現在も、この本と同じことが起こっていそうで、明日は我が身かもしれない、と思わせるそのリアリティが怖いです。

評価:(5つ満点)

七人の敵がいる*加納朋子

sitinin.jpg小学生の親は仕事よりも難しい!ワーキングマザーの陽子は息子の小学校の初めての保護者会でお母さんたちを敵に回してしまう。困惑、当惑、泣き笑い。痛快PTA小説。 『小説すばる』 掲載を単行本化。 
(加納朋子)1966年福岡県生まれ。文教大学女子短期大学部卒業。『ななつのこ』 で鮎川哲也賞、『ガラスの麒麟』 で日本推理作家協会賞を受賞。主な著書に 『少年少女飛行倶楽部』 『ぐるぐる猿と歌う鳥』 など。 
(収録作品)女は女の敵である/義母義家族は敵である/男もたいがい、敵である/当然夫も敵である/我が子だろうが敵になる/先生が敵である/会長様は敵である

ライトノベル的展開で登場人物らもステレオタイプだし、マンガだと思って読むと結構楽しめます。あまたある学校PTA、子ども会、自治会の活動をちょっと(かなり)デフォルメしたらこんな感じかなぁ、主人公 陽子もマスコミ人とはいえエキセントリック過ぎるし。そこがまた面白いんだけど。

資料作成も得意で気のいい沢さんが4人もの要介護親を抱えていたり、ヤンキーシングルママの五十嵐さんが実はいい人だったり、ロリコン教師に盗癖のある母親、そして陽子本人にも重大な秘密が、とワイドショー並みのバラエティぶりはちょっとやりすぎな気はしないでもないけど。でもPTA活動を通じて陽子は信念を曲げることなく、よりよい活動を提案していこう、という展開は好感が持てますね。ラスト、陽子にみんながアンタ市議とかになったら?と言ってますが、本当にこういうアグレッシブな人が政治家ならいいんですけどね。

あとがきに 『決してPTA活動を揶揄しているのではない』 とあり、そこが一番読者に対して心配だったのでしょうね。ラストの 『七人の敵がいる、されど八人の仲間あり。』 でまとまったかな。かつての敵から仲間になった人もいて、陽子の人徳?すごいです。

評価:(5つ満点)

やぶへび*大沢在昌

yabuhebi.jpg金なし女なしで迎えた元刑事 甲賀悟郎40歳の年末。そこに 『奥さんを保護しました』 という電話が警察から入る。偽装結婚をした会ったこともない中国人女性に記憶喪失の疑いがあるというのだ。悟郎は 『見知らぬ妻』 と初めて会うことになるが。書き下ろし。
(大沢在昌)1956年名古屋市生まれ。慶応義塾大学法学部中退。『感傷の街角』 で小説推理新人賞を受賞しデビュー。『深夜曲馬団』 で日本冒険小説協会最優秀短編賞、 『新宿鮫』 で日本推理作家協会賞長篇賞、吉川英治文学新人賞、「新宿鮫 無間人形」で第110回直木賞、 『心では重すぎる』 で日本冒険小説協会大賞、『パンドラ・アイランド』 で柴田錬三郎賞を受賞。

いつもそうなのですが、色々と考えていた頭にはホッと一息つけるいつものワンパターン、じゃなくて大沢節が、落ち着きますね。毎回同じパターンなんだけどそれが面白い、それってすごいことですね。もはやドラえもん的存在、大沢小説。

今回みんなが血眼になって追っている 『蛇』 なるものの正体が実は、ラストでも明かされないと言いますか…。そこが一瞬アレ?ですが、ハッピーエンドらしいのでまぁいいでしょう(曖昧な感想過ぎる…)。いつも思うけど東京の(元)刑事さんって、本当にこんなにタフじゃないと生き抜けないのでしょうか?

評価:(5つ満点)

さわやかな王子

torisan.pngトリさんにも音符♪
第2王子ニュースをお伝えします。彼との毎日は爆笑の連続!次男坊というのは何をしても許されるというのは本当だなと思ってます。

トリさんにもマユゲ
保育園を卒園してから2年生の終わりまで、保育園併設の学童保育に2年間お世話になりました。最後の半年は私も無職だったので本当は学童をやめてもよかったのですが、先生に聞いたら今のところ中途希望者の方はいないそうで、うちがやめてもやめなくても変わりはないそうです。

学童では月替わりで壁面装飾に学年毎の作品が飾られますが、2年生の作品はこのトリさん。みんな色々な可愛い模様が入っている中、第2王子のトリさんには音符!なんて可愛いのでしょう~♪マユゲのりりしさも第2王子そっくりだ。とても上手にできました。

忘れ物
私は朝に弱いので起きられず義母に朝から怒られていることはしばしばでございます…お互い気分よく暮らすためには私が早起きを確実にすればよいのです、ええ分かっているのです。でもダメなときもあるのです…。そんな時と小学校の朝の読み聞かせが重なると、テンション下がりまくりで最悪でございます。読み聞かせのクラスの皆様本当にごめんなさい。

とその日も思っておりました。険悪な雰囲気。第2王子はいつも通り7:00にお友達が迎えに来て登校。第1王子(中3)はその後7:15頃登校。やれやれ終わった…と思っていたら。

第2王子が戻ってきました。そして 『あったあった。忘れもの。』 と赤い顔して言った先にあったものは…ランドセル

ランドセル、忘れたのです。しょっていくのを忘れたのです。本当にそういう子どもって、いるんですよ。しかも我が家に、だけど。
『どこで気付いたのー?』 と言ったら、歩道橋ですって。結構先ですけど。しかもお友達に指摘されて初めて気付いたとか。改めて 『ああ、軽いと落ち着かなかった。重いと落ち着くな。』 とか言いながら出て行きました。

義母と2人で 『第2王子がいると本当になごむねぇ。感謝しないと。』 と言っておりました。
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今週の私
急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
只今読破中
木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
読書 映画鑑賞 観劇
かぎ針編み プール
ハマッてます:
車が新しくなりついにiPodがつなげる環境に!すごいぞ技術の進歩!
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