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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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ぼくの宝物絵本*穂村弘

takaraehon.jpg歌人 穂村弘が会社員だった時代から蒐集した絵本。好きな絵本も嫌いな絵本にも心惹かれる、その理由とは。蒐集した絵本のうち独断と偏見で選び語った絵本論。月刊MOE連載を中心に単行本化。
(穂村弘)1962年北海道札幌市生まれ。上智大学卒業。歌人、翻訳家、エッセイスト。『短歌の友人』 で伊藤整文学賞、『楽しい一日』 で短歌研究賞を受賞。主な著書に 『シンジケート』 『短歌という爆弾』 『もうおうちへかえりましょう』 『本当はちがうんだ日記』 など。

歌人 ホムラさんの絵本選びの視点が非常にユニークで面白いです。ということであって、純粋なレビュー、書評集ではありません、念のため。参考になるかと言われればどちらかと言えば参考にはなりません(笑)。

ねないこだれだ(せなけいこ)
ホムラさんはこの絵本の限りないシュールさが大のお気に入り。絵本には子どもを怖がらせない、という 『教育的配慮』 がなされたものが多い中、これはその 『教育的配慮』 を思いっきり超越しているところが素晴らしい!と絶賛(笑)。

火打ち箱(フェリシモ出版)
アンデルセンの火打ち箱という物語をペーパークラフトとその写真で表現した一冊。ホムラさんの紹介で探しました図書館、蔵書があった!なかったら買うところでした、そこまでして見たいと思わせるほど、ホムラさんの情熱が伝わった一冊。ペーパークラフト、しかも一枚の紙を切り、折り曲げて表現したこの美しさ。美術の本として見る価値あり、です。読み聞かせには向きません。

ねこのセーター(100%オレンジ)
シュール・レアリズムを表現した一冊。とにかくホムラさんはシュールがお好き。この主人公のねこ、ほんっとにひねくれてて可愛くない。それが、シュール。

とおもったら…(イエラ・マリ)
これもグラフィックアートの絵本。読み聞かせよりは美術の本として見る価値あり。でも読み聞かせにも使いました。ホムラさんいわく 『無理、を詰め込む絵本という技法』 を見事に具現した一冊。そう絵本の世界では無理が通るのだ。だからこそ、絵本なのだ。

ゴムあたまポンたろう(長新太)
最後に長新太。私の苦手な長新太…。その長さんのナンセンスが分かるホムラさんはやはり、すごいわ。 『めでたし』 で終わることのない、『めでたし』 で終わらなくてはいけない、という社会的呪縛からの解放を謳った絵本。だそうです!社会的呪縛!
私も社会的呪縛、に捕らわれないようにしなくっちゃ。

とホムラさんの視点で楽しめる、レビュー集です。ホムラさんが大好きな私はとっても楽しめました。表紙の赤ずきん少年は、ホムラさんのために酒井駒子が書き下ろしたそう。

評価:(5つ満点)
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悪人

akunin.jpg小さな漁村に住む土木作業員の祐一は出会い系サイトで光代と知り合い逢瀬を重ねる。だが祐一は世間を騒がせている殺人事件の犯人だった。光代に自首を止められ2人は逃避行を開始する。殺人犯との許されぬ愛。一体誰が本当の 『悪人』 なのか。モントリオール世界映画祭最優秀女優賞(深津絵里)。原作 吉田修一。李相日監督(フラガール)作品。

いつも一人映画の私ですが、たまに友人に誘われて一緒に観ると感想を共有できて楽しいです、お誘いいつもありがとう。

童顔の妻夫木くんが悪人役なんてできるのか~というところから始まっていたので、妻夫木くんの見事な役作りにまず脱帽しました。見事です、悪人です、目つき悪いです。この映画、悪人いっぱい出てきます。満島ひかり、岡田将生の悪人ぶりもとてもいいです。柄本明は悪人ではないのですが素晴らしいです。そして友人も私も樹木希林の存在感にはただただ圧倒されました、すごいです。

それぞれの個性の強烈なぶつかり合いの中、深津絵里の演技は非常に抑えられた感じで最初は物足りないような気がしていましたが、見終わってしばらくすると彼女の抑えた演技だからこそ妻夫木や他の俳優陣がより引き立ったのかと思いました。最優秀女優賞受賞も嬉しいですね。

邦画、これからも楽しみです。吉田修一はどうもあんまり好みじゃないとずっと思ってきましたが、これは原作を読んでみたくなりました。フラガールの李相日監督もさすがですね。

評価:(邦画に期待)

初陣*今野敏

uijin.jpg隠蔽捜査3.5。警視庁刑事部長 伊丹俊太郎と大森署署長 竜崎伸也は幼馴染にして立場の違う同期の警視庁キャリア。堅物男の竜崎をいつも助けてきた伊丹だが、伊丹にも竜崎に言えない悩みがいつもあった。隠蔽捜査シリーズのスピンオフ。小説新潮掲載を単行本化。
(今野敏)1955年北海道生まれ。上智大学卒業。『怪物が街にやってくる』 で問題小説新人賞を受賞しデビュー。『隠蔽捜査』 で吉川英治文学新人賞、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。TBSドラマ 『ハンチョウ~神南署安積班~』 の原作シリーズなど著書多数。
(収録作品)指揮/初陣/休暇/懲戒/病欠/冤罪/試練/静観

私の好きな今野敏のシリーズ 『隠蔽捜査』 。そのスピンオフ版です。隠蔽捜査は竜崎が主人公ですが、この本は竜崎の幼なじみの伊丹が主人公。竜崎から見た伊丹はいつも調子が良く、歯切れも良く、マスコミ受けが大変良く、警視庁の顔と言える存在で悩みなど全くなさそう。なのですが、実際の伊丹には悩みが山積みなわけです、もちろん。

その伊丹の悩みがそえぞれ書かれている短編集なのですが、いつもいつもその悩みを竜崎に解決してもらっていて、いいわけ伊丹くん?とちょっとツッコミ入れたくなるほど、伊丹は竜崎に頼りっぱなし(笑)。でもいいか、実際に助けてくれるわけだから。

変人堅物の竜崎が面白いのであって、竜崎にくらべると伊丹さんはごくごく普通の人で悩みも普通のことで、それを変人に相談すると思いもよらない回答を寄越してくる、というのが面白い、ということでしょうか。隠蔽捜査のシリーズを既読でないとちょっと楽しめないのでご注意。

評価:(5つ満点)

猛暑終わる

mousho.png市役所前噴水にて
今年の夏は異常気象でした、ここ北東北のH市も全国の気候にもれず、恐ろしいほどの猛暑が続いておりましたがようやく9月も2週目を過ぎ落ち着いてきました。しかし2学期始業式が8月20日(早っ)、例年2学期に入るとプールの授業は気温水温が低くほとんどできないのに、今年は9月半ばまでバッチリ入るなんて。プール納め会が9月はじめにありましたが、納め会後もプール授業がありもう涼しいしやめておくれよ…何の納め会だったっけ?と思い始めた頃、ようやくプールの授業も終わりになりました。

しかしこんなに暑かったのに結局海水浴に連れて行かず、ごめんよ第2王子。市役所前の噴水でガマンしておくれ…。海水浴に連れて行く気力がない、というところでやはり自分の加齢を感じますね…。


マルガリータ*村木嵐

margarett.jpg戦国末ローマから日本に帰国した天正遣欧少年使節を待っていたのは禁教だった。4人の中でただ1人信仰を捨てた千々石ミゲル。彼はなぜ信仰を捨てて生きようとしたのか。ミゲルの苦悩の生涯をその妻の目から描く。松本清張賞受賞作。
(村木嵐)1967年京都府生まれ。京都大学法学部卒業。故司馬遼太郎夫人の福田みどり氏の個人秘書を務める。本作で第17回松本清張賞受賞。

マルガリータとは、真珠のことです。
歴史小説は正直苦手であまり読まないのですが、これはすごくスイスイ読めました。著者 村木氏はずっと司馬遼太郎氏の秘書を務め、司馬氏の死去は奥様の秘書を務めてこられた、という方ですが、司馬遼太郎は読めなくても村木嵐は読めます。次回作も楽しみです。

歴史小説ではありますが、その読みやすさは主人公を少年使節だったミゲルの妻 珠を語り手にしたところが大きいと思います。珠の目から見たミゲル、少年使節、人々とキリシタン信仰、政治に翻弄されるキリシタンらの苦悩を描いており、そしてそれらよりも当然重点を置かれるのが、珠のミゲルに対する想いだからですね。

珠は幸せだったのか?それは誰よりも珠自身がよく、分かっていることなのかもしれませんね。歴史を愛することは人を愛することである。司馬遼太郎を読んでみるかな(でも多分読まないけど)。
歴史小説っぽくなくて、オススメです。

評価:(5つ満点)

自白*乃南アサ

jihaku.jpg事件解決の鍵は刑事の情熱と勘と経験だ。昭和50~60年代を舞台に地道な捜査で容疑者を追い詰める刑事の事件簿。オール讀物に掲載された全4作品を単行本化。
(乃南アサ)1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『涙』 『鍵』 『しゃぼん玉』 など。
(収録作品)アメリカ淵/渋うちわ/また逢う日まで  /どんぶり捜査

舞台は昭和50~60年代。なぜわざわざ今、その時代を背景に?古き良き時代、習慣、人と人とのつながりが残っていた時代だから、でしょうか。ダイアナ妃結婚、TDL開園など昭和のニュースを背景に物語が進みます。

思えばこの時代、刑事さんの家庭もご主人を陰で支える健気な妻、という像がまだまだ成り立ってました。事件もシンプルだったし。このシンプルさがかえって新鮮でした。まだ殺人犯にも多少なりとも人間味が残っており、刑事の役割も人情を前面に出してやっていけた時代、ということを乃南氏は言いたかったのでしょうか。

一体どこからこの国は、この国の犯罪は変わってきたのか?恨み辛みではなく人を殺しておいて 『誰でもよかった』 という犯人が増えてきてしまったのか?ということを考えさせられる一冊です。

評価:(5つ満点)

東京島

tokyojimam.jpg無人島に23人の若い男と唯一の女、清子が漂着する。いつまで経っても助けは来ず、いつしかみんなは島を 『東京島』 と呼ぶようになる。ただ1人の女性として女王の如く君臨した清子だったが、仲間の1人が謎の死を遂げたことから清子を巡り人間関係が崩れ始める。 原作 桐野夏生。

ここが南の島か…ヤシの木とかないし。なんて思っていましたが、撮影は徳之島で行われたそうなのでやっぱり本物の南の島でしたね。実際はこういう感じなんですね、見たところ伊豆大島みたいな感じで八丈島の方がよっぽど南の島という雰囲気です。

清子が木村さんでは美しすぎました…もっとインパクトのある女優さんでないとダメでしたね(笑)。全般に面白かったのですが一番残念だったのは清子の夫の日記の描写がないところ。文明、文字情報の一切ない島で、唯一の文学作品?であった日記をワタナベが奪って読みふける、というところが文明から隔離された世界観を一層盛り立てていたのですが、その描写を日記から地図の裏に描いた食べ物の絵で代用しちゃって…。絵では文字情報ほどのインパクトがないんですよね。絵といってもいたずら書きみたいなのだし。

それから、フィリピンから出稼ぎに来た途中漂着した芸能グループのチキ・チータが、持ち歌であるABBAを唄わなかったところが誠に残念!ABBAの許可が得られなかったのか?ほんっとうに残念です、この 『チキ・チータ』 が物語では何よりも重要なキーワードなのに!

清子の決めゼリフ 『いつか日本に必ず帰る』 が映画では 『何がハッピーエンドかは自分で決めるわ』 に変わっており、映画としてはちょっと視点を変えたかったのかもしれませんね。ワタナベ、GM、マンタはすごく良かったです、それぞれの狂気を見事に表現してました。原作とちょっと違ってキレイなシーンも沢山あって、かえって良かったのかもしれません。

清子のエルメスのスカーフ、効いてます。

評価:(無人島にはエルメス持って)

ヤングアダルトパパ*山本幸久

youngadult.jpg夏休みもあと数日。中学2年生の静男は生後5ヶ月の赤ん坊を負ぶい保育所を探していた。年上の花音と静男との間に生まれた息子、優作。花音が幼い父子を残し出奔した後も、途方に暮れながらも幼い父親の静男はひたすらに優作を守ろうとするのだが。
(山本幸久)1966年東京都生まれ。中央大学卒業。 『アカコとヒトミ(『笑う招き猫』 に改題)で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。著書に 『愛は苦手』 『失恋延長戦』 など。

途中、静男のあまりのひたむきさに息苦しさを感じ読むのが辛くなったり…。ただひたすらに優作を愛し育てるその様子は 『責任』 という言葉だけでは説明できない、もっと本能的なものなのだと感じましたね。あまりに身勝手な花音の行動すらあまり責める気になれない、どころか気にならないほどなのは、静男自身が花音に対して怒りを感じていないからで、それを物語中見事に読者に伝えていると思います。

リアリティのない話をリアルに感じるそのわけは、登場する中学生の少年少女らを見事にリアルに描いているからでしょう。そう、あくまでも静男は14歳、中学2年の少年なのです。優作をおんぶして育児をする合間に夏休みの宿題を律儀にこなす…その姿勢がなんともいじましい。静男の幼なじみでちょっとヤンキーかと思っていた少年も実はとってもいい子である、という展開も嬉しいです。

ラストでも花音は戻ってこず、その帰還はもはや絶望的でありながら、静男はそれでもなお彼女を恋しく思う気持ちを捨てきれない(そりゃ当たり前だ)。優作と引き離されそうになった静男が言う 『ぼくはもう家族がバラバラになるのはイヤなんだ。』 その一言がすべてを語っています。

夢物語でありながら現実の厳しさも織り交ぜ、静男の周辺の大人になりきれない大人達を非常によく描いており、身につまされます(!)。静男が、第1王子より年下だという事実には読了して気付いたし!

評価:(5つ満点)
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急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
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