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読書と映画と観劇と

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かーかん、はあい*俵万智

kakan.jpgシングルマザーの歌人である著者が、子どもの成長を見守り育児の中での感動的な発見を綴った朝日新聞夕刊連載のエッセイ集。1歳から3歳児までの子どもの本の選び方の読書案内に短歌を添えた作品。
(俵万智)1962年大阪府生まれ。本名同じ。歌人。早稲田大学第一文学部卒業。元高校教諭。主な歌集に 『サラダ記念日』 『かぜのてのひら』 『チョコレート革命』 『プーさんの鼻』 。

短歌、気になります。短い中に込められた作者の想い。その濃厚な言葉の連なりに、同じ言葉である日本語を操るものとして、激しい嫉妬を感じております(笑)。

気になる読書案内はすべてチェックしている中に、俵万智氏の本書がありました。そして40歳を過ぎてシングルマザーの道を選んだとも。へー知らなかったわ、ということで見てみました。

選んである本は小さい子ども向けでベストセラーとなっている本ばかりで特に珍しいことはないのですが、本書の一番の特徴はそえぞれに添えられた短歌の素晴らしさ。俵氏の子どもさんが気に入った絵本の紹介がほとんどですが、その彼の本に対する思いを母が短歌で代弁している、この見事なコラボレーション。どちらが欠けても成り立ちません。

想いを短歌に込める。その芸術とも言える技を持つ歌人という存在は、やはり眩しいです。

評価:(歌集としてご覧ください)
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隠蔽捜査*今野敏

inpei.jpg警察庁キャリアの竜崎は生真面目過ぎて同僚のみならず家族からも変人扱いされている。警察組織を揺るがす大事件に直面した竜崎は、組織をそして自らを守るために決断を下す。霞ヶ関の本庁舎で組織に逆らい孤立無援の闘いに挑む彼に未来はあるのか。吉川英治文学新人賞受賞。
(今野敏)1955年北海道生まれ。上智大学卒業。『怪物が街にやってくる』 で問題小説新人賞を受賞しデビュー。『隠蔽捜査』 で吉川英治文学新人賞、『果断 隠蔽捜査2』 で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。TBSドラマ 『ハンチョウ~神南署安積班~』 の原作シリーズなど著書多数。

今野敏のハードボイルドは、私好みです。今年の課題作家 今野敏はまずこちらから。

偏屈で頑なな警察庁官僚の竜崎。浪人中の息子が現役で有名私大に受かったのに 『東大以外は大学じゃない』 と東大入学を強要したりして家族からも変人扱いされている彼を、好きになれるだろうか…と読み始めたのも一瞬で、みるみる引き込まれてしまいました。表向きは強くありたい、他人にもそう見せたいと常に思い努力している竜崎の、同期キャリアである伊丹への強すぎるコンプレックスがまたいいですね。そのコンプレックスというのは小学校時代に彼から受けたいじめが原因…というのがまたいい(笑)。三つ子の魂百まで、か?

真実を隠そうとする警察組織に真っ向からたった一人で立ち向かおうとする竜崎。それは正義感というより彼自身の生きるための信念とでも言うべきものか。妻には家を守れ、俺は国家公務員として国を守る、と言い切る竜崎。その滑稽とも言えるまでに無骨な信念を持ち、不器用でただ実直な憎めないヒーロー。

続編もこれから読むのが楽しみです。正統派ヒロイズムが好きな私にピッタリの作家が見つかって嬉しいです。

評価:(5つ満点)

金魚生活*楊逸

kingyo.jpg中国の東北部の小さな町でレストランに勤める林玉玲。未亡人だが美貌が自慢。店の店長が大事にしている金魚の世話係を頼まれている。結婚して日本にいる娘の出産の手伝いのために来日した玉玲は、娘から日本人との再婚を勧められるが…。
(楊逸)ヤン・イー。1964年中国ハルビン市生まれ。お茶の水女子大学卒業。在日中国人向けの新聞社を経て中国語教師。『時の滲む朝』で芥川賞受賞。他の著書に 『ワンちゃん』。

楊逸の小説に登場する中国人女性は皆、たくましい。つましい暮らしに不平不満を言わず、それをありのまま受け入れる、というたくましさ。本来人は皆そうであったはずなのに、どこで日本人は間違ってしまったのだろう?

玉玲は日本で暮らす娘の出産を手伝うため来日する。日本語も分からず右も左も分からない彼女が出会う日本社会。そこで暮らす森田と名乗る中国から帰化した女性、日本人として暮らす道を選んだ彼女の存在と発言、考え方を通じて日本という国が抱える歪みを垣間見ることができる。何でも揃っていて人々は豊かで満たされているはずなのに、玉玲が強く感じるのはその豊かさに対する憧れではなく、国に残してきた内縁の夫のこと。彼の存在そのものと言うより彼を含めた彼女の故郷、帰るべき故郷、ではないだろうか。

望郷、についてしばし考えました。

評価:(5つ満点)

女神記*桐野夏生

josinki.jpg海蛇の島の大巫女の家系に育ったカミクゥとナミマの姉妹。姉は生命を司る昼の巫女、妹は死を司る夜の巫女となる運命だった。ナミマは掟を破り恋人と島を抜けるがやがて命を落とし、女王イザナミが司る黄泉の国に落ちる。自分の死の真相を知りたいナミマは黄泉の国で蜂となり現世に戻るが、そこでナミマが目にしたものとは。古事記をモチーフにした 『新・世界の神話シリーズ』 の一冊、世界20カ国で翻訳/発売予定。
(桐野夏生)1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。『顔に降りかかる雨』 で江戸川乱歩賞、『OUT』 で日本推理作家協会賞、『柔らかな頬』 で直木賞、『グロテスク』 で泉鏡花文学賞、『残虐記』 で柴田錬三郎賞、『魂萌え!』 で婦人公論文芸賞、『東京島』 で谷崎潤一郎賞を受賞。 また 『OUT』 で日本人初のエドガー賞候補となる。

読み始めるまではあまり気が進まなかった本書ですが、読み始めた途端一気に読んでしまいました…久々にご飯の支度しながら立ち読みしましたよ(笑)。
古事記のイザナキ・イザナミのエピソードをナミマという架空の島の巫女を語り部にして脚色し、見事なストーリーに仕上げた桐野氏はやはりさすが。イザナミから見れば、彼女を捨てた非情な夫イザナキが彼自身の持つ永遠の命、すなわち 『死ねない運命』 という宿命に苦しむ姿を描いたのも、見事です。

イザナキ・イザナミがそれぞれ陰と陽を表すように、島の昼の巫女であるカミクゥと夜の巫女であるナミマを作り上げ、それぞれの悲しい運命とその運命から最後まで逃れられない苦しみを、見事に神話の世界と連動させています。新・世界の神話、面白い試みです。

評価:(5つ満点)

7つの贈り物

7pounds.gif男の名前はベン・トーマス。彼は7人の名前が載ったリストを持っている。彼らは互いに何の関係もない他人同士。ベンは彼らに近づき彼らの人生を調べ始める。そしてある条件に一致すれば彼らの運命を永遠に変える贈り物を渡そうとしているのだが…。ベン・トーマスとは何者なのか?彼の目的は何なのか?そして贈り物の中身とは?

ウィル・スミスファンの私は張り切って行きましたが、彼の魅力は満載ですが正直ストーリー展開はやや弱い感じでした。というのも中盤かなり行くまでベンの行動の意味が、本当に分からないんです。展開がものすごく分かりにくいから途中で眠くなります…初めからストーリーが贖罪の物語だと知っていなければ、見続けるのが少々ツライものがあります。しかしウィル・スミスは本当にいいです!So Cute!! であります。何やらせても素敵。彼の魅力でこの映画は相当カバーされております。

ラストの伏線もあーなるほどね…という感じですっごく驚きはしないのですが、ラスト15分前まではたくさん出て来すぎの 『??』 を相当ガマンしなければならず、ちょっとしんどいです。Seven Pounds という原題もそのまま邦題にしてはネタバレ?につながるのか苦心して 『7つの贈り物』 とした配給元はスゴイと思いますが、やはりもうちょっとテンポが欲しかったです。

評価:(5つ満点)

29歳

29sai.jpg結婚、出産、恋、仕事、夢、迷い、あきらめ、自信…。何かが終わり、始まる。ふと自分を見つめる時とは。29歳独身女性8人の等身大の物語。 『日経ウーマン』掲載を単行本化。
(収録作品)私の人生は56億7000万年(山崎ナオコーラ)/ハワイへ行きたい(柴崎友香)/絵葉書(中上紀)/ひばな。はなび。(野中柊)/雪の夜のビターココア(宇佐美游)/クーデター、やってみないか?(栗田有起)/パキラのコップ(柳美里)/憧憬☆カトマンズ(宮木あや子)

アンソロジーは思わぬ作家に出会えるという幸運もありますが、たまにすごくハズレな短編をムリクリ読まなくてはならない、という苦痛?を伴うこともあります。今回は宮木あや子を目当てに読み始めましたが、8編のうちアタリは以下の通り。
クーデター、やってみないか?(栗田有起)
パキラのコップ(柳美里)
憧憬☆カトマンズ(宮木あや子)

日経WOMANは読者層を非常に意識して作っている(それはどの雑誌もだ)から、掲載小説もこうなるのは仕方ないのか…つまり私はもう日経WOMAN世代じゃないってことなのだ。栗田有起、宮木あや子はやはり今回も小気味いいです。あまり私好みじゃないと思っていた柳美里が今回なかなか私にハマり、良かったです。正直嫌いかもと思っていただけにあまり最初の印象だけで決めず柳美里ももうちょっと読んでみないとだな。と思いました。中上紀、宇佐美游は初読です。

評価:(5つ満点)

三月の招待状*角田光代

sangatu.jpg友人の新たな門出を祝う離婚パーティで顔を合わせた学生時代の友人たち5人。何を終わらせて何を始めるのか。動揺、いらだち、むなしさ。学生時代から成長できない、大人になりきれない30代男女5人のモラトリアムを描く。
(角田光代)1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『幸福な遊戯』 で海燕新人文学賞、『まどろむ夜のUFO』 で野間文芸新人賞、『ぼくはきみのおにいさん』 で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』 で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、路傍の石文学賞、『空中庭園』 で婦人公論文芸賞、『対岸の彼女』 で直木賞、『八日目の蟬』 で中央公論文芸賞を受賞。

あー。やっぱり角田さんは当たり外れが結構あります。今更こんなモラトリアム群像モノ書かなくてもいいのに。今回も誰にも全く共感できず悲しい読後感です。

大人に成りきれていない、そしてそのことに気付いてもいない30代半ばの学生時代からの仲間たち。40、50になってもこの人たちはコドモのままなのか?余計なお世話ながら、本当に心配だ!!

評価:(5つ満点)

マンマ・ミーア!

mammamia.pngギリシャ エーゲ海に浮かぶ美しいリゾートの島。ホテルを営むシングルマザーのドナに育てられたソフィは明日結婚式を迎える。婚約者のスカイにも母親にも内緒でソフィはまだ見ぬ父親とヴァージンロードを歩く夢を叶えるため、ドナの昔の日記帳を盗み見て3人の父親候補を見つけ出し3人に結婚式の招待状を送るのだが、父親候補が3人揃ってしまい3人共が自分が父親だと名乗りを上げる。ドナや結婚式の参列者を巻き込んでソフィは本当の父親を見つけることができるのか。過ぎ去りし青春の思い出と若く希望に溢れたカップルの未来をABBAの曲で織り成したミュージカルの最高傑作。

ご存じ世界各国で舞台化されているマンマ・ミーアの映画版。ミュージカルを映画化、ということですがあまりミュージカルミュージカルしておらず、独自のラストの展開を迎えて大変よくできた映画です。舞台では表現できない、サム、ビル、ハリーの3人の父親候補がボートで島へ渡ってくるシーンや、そのボートで3人とソフィが楽しくくつろぐシーンなどがとても良かったです。

何と言ってもメリル・ストリープの歌と演技が凄い!ドナ・ザ・ダイナモスのくたびれ感(笑)もかなりリアルで良かったです。ところどころ結構泣きました、SOS や The Winner takes it All とか特にストリープの熱唱に泣きました

この映画で改めて劇団四季マンマ・ミーアのレベルの高さを認識しましたね。また機会があったら四季のマンマ・ミーアを観たいです。

評価:(必見!)

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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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